■原作知識ナシにはクリア不可!?

 キャラゲーの楽しみ方としては、「原作の物語を追体験」「お気に入りのキャラを使って原作にない展開をたどる」という2タイプがあると思いますが、本作は前者のタイプ。まぁ原作をまったく知らない人が購入するケースはまれだとは思いますが、友だちの家でストーリーを知らずにプレイした……なんて状況だと、このゲームをクリアするのは至難の業かもしれません。

 というのも、宮ごとに星矢、紫龍、氷河、瞬の中から1人を選んで進んでいくのですが、「特定のキャラでないと先に進めない」、あるいは「敵にダメージを与えられない」といったワナが潜んでいます。一応キャラ選択画面で表示されるセリフの中にヒントはあるものの、これだけでは完全に情報不足。基本的には原作で得た知識をもとに、最適なキャラ選択をしなければならないのです。アルデバランには星矢をぶつけ、磨羯宮には紫龍で挑む……といった具合ですね。

 黄金聖闘士との1対1のバトルは、RPGのようなコマンド方式を採用。ファミコンというハードの制約があるなか、原作のバトルの空気感がうまく表現できていると思います。「ペガサス流星拳」などのキャラ固有の必殺技も、少々チープな効果音とエフェクトながら見応え十分。バトル中に原作さながらの会話が織り交ぜられ、『聖闘士星矢』の世界観に浸れる内容でした。

 ただ、システム的には少々不親切なところも! 敵の攻撃時、星矢たちが防御の体勢をとった瞬間に左右にキーを入れると攻撃を避けられることを知るまでは、苦戦しまくり。この回避のタイミングがかなりシビアなのに、敵の黄金聖闘士たちはこちらの攻撃をあっさり回避するので、理不尽さを感じる場面もありましたね……。それでも、原作通りのキャラ選択をしていた場合、一度敗れても「パワーアップして復活」なんてこともあるので、アツい展開を迎えるために必要な演出と思うことにします。

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