■知れば知るほど奥深い『ファミリージョッキー』の魅力
だからといって、馬のスピードを落として、出現したマークを全部取ろうとすると、最後の直線でトップに追いつけなくなる。逆に前へ前へと出て、進むコースにマークが落ちているのを期待すると、うっかり馬の体力がダウンする“ドクロマーク”を取ってしまう可能性がある。かといって、マークをあきらめてしまえば、上位のレースで絶対に勝てない。
つまり、マークを取りに行くのか、レースの勝利を優先すべきなのか、凄腕のジョッキーのように、臨機応変に愛馬を操る必要があるのです。
確かに、マーク獲得による育成は運の要素が大きくなります。ですが、だからこそ何度でも遊びたくなる部分も大きい。
「マークをたくさんゲットできたのに、直後の障害で転んでゲームオーバー」とか、「スタミナ切れでヘロヘロだったけど、ゴール前の“体当たり”で4位に残れた」とか、毎回遊ぶたびに、何かしら“ドラマ”が生まれる。これは「育成系ゲーム」に共通する醍醐味でしょう。
平地のGIレースなのに障害戦だとか、距離が長すぎるとか、走破タイムが速すぎるとか、競馬的なツッコミどころもあるかもしれません。ただ、「レースを重ねることで馬が成長する」という点はとてもリアルですし、競馬的な知識があることで面白さは確実に増していきます。
『ファミリージョッキー』というタイトルは、競走馬の一生を16戦のレースで表現した“本格派競馬育成ゲーム”だったのだと、あらためて感じます。大事に育ててきた愛馬で、最後の直線。植木の大きな障害を前にしたときの「コケたら一巻の終わり」というあの緊張感――。普通のアクションゲームじゃ、なかなか味わえないと思うんですよね。
(文:べーた ライター/エディター)