■問われる「男らしさ」と「女らしさ」

 この物語は、傷害事件の犯人を追うサスペンス的要素も含まれている中、より読者の心を動かしていく内容が一貫して描かれています。それは「男らしさ」「女らしさ」が誰のために、何のためにあるものなのか、です。

 仁那が入学した高校では盛んに男女の感覚の違いを感じさせられる出来事が起きます。その中心にいるのは、男子から人気の女の子・未玖。仁那や未玖、ほかの女子たちにより伝わってくる「女らしさ」の捉え方。

 痴漢に遭うことなんて平気なふりをしなければいけない、男の子が言う下ネタには合わせなければいけない、場の空気を壊してはいけない、自分の「女らしさ」に過剰に反応してはいけない。

 自分よりかわいい子が受け流しているんだから、自分が自意識過剰になってはいけない……。その考え方はまた新たな悲しい出来事を引き起こしていきます。

 その内容は、私たちが学生のときに感じては流し、無視してきた感情。それを感じたときに、前述の相田編集長の言葉が改めて響くとともに、少女たちの再生の物語となることに目が離せなくなります。

■『りぼん』で連載される意味

 内容を読み進めるとともに、振り返って再度インパクトを受ける点は、このマンガが『りぼん』で連載されているということです。

『りぼん』とは、対象年齢の平均が小学校高学年、『ちゃお』『なかよし』と並ぶ「三大・女の子が初めて手に取る少女漫画雑誌」です。

 人生で初めて読む漫画たち。私自身、小さい頃に読んだ少女漫画たちでたくさんの気持ちを知りました。気持ちだけではありません。バレンタインのチョコの作り方から、お箸の正しい持ち方、将来の夢を持つ意味も漫画から教わりました。

 そしてこの『さよならミニスカート』から私は、「何があっても立ち上がれる」という真実を教えてもらっている気がします。何が起きたからじゃない、それをどう捉えて生きていくか。『りぼん』ど真ん中世代の子たちとぜひ話してみたいものです。

 現在本誌では休載中の『さよならミニスカート』。頭では追いつけない衝撃が襲ってきますので、まだ読んでいない方は2巻までを堪能するチャンス! ぜひ2020年の話題作をお読みくださいませ。

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