画像は「りぼんみらいフェスタ2019」より
画像は「りぼんみらいフェスタ2019」より

 みなさんこんにちは、少女漫画も少年漫画も青年漫画もweb漫画もごはん漫画も4コマ漫画もギャグ漫画もレディコミもコマ割りされてるもの全部大好き!ワタナベエンターテインメント所属の少女漫画芸人・別冊なかむらりょうこです。

 2018年後期からの少女漫画界は、まさに『さよならミニスカート』旋風が巻き起こった1年でした。

 初めての恋を描かせたら日本一!な少女漫画誌『りぼん』(集英社)で始まった牧野あおいさんによる本作。2018年9月号に第1話が掲載されたとたん、SNSなどを中心にその異色さが大きく話題になりました。

『りぼん』本誌だけでなく、少年向け漫画アプリ「ジャンプ+」でも同時配信され、ツイッターなどのプロモーションで実写CMが流れ、読者層である少女たちへの普及だけではなく、男女大人子ども関わらず作品に触れることに。『りぼん』相田聡一編集長は連載開始当初「異例」と題した下記のような声明を発表していました。

「少女たちだけでなく、いつかの少女たち、今は大人の女性になった、かつてのりぼん読者たちをも大切にすることができる漫画」
「この連載は、何があろうと、続けていきます」

『りぼん』編集者さんたちからのラブコールを受け、猛プッシュの中始まった連載で、そのまま読者を惹きつけ「このマンガがすごい!」大賞2020第1位に。

 ちなみに「このマンガがすごい!」大賞は、普段漫画のみならず、本に携わる本読みの方々が多く投票している賞。低年齢向け少女漫画誌の漫画が上位に入ることは大変稀です。「王者」になるべく現れ、それを実行させた「異端」の少女マンガ。読まずにはいられないその魅力を改めて見ていきたいと思います。

■今まで描かれなかった「アイドル」の姿

『さよならミニスカート』の主人公は人気絶頂のアイドルグループで最も人気のあるメンバー・雨宮花恋。ある日握手会をしていたところ、ファンに紛れたナイフを持った男に切りつけられてしまい、二度と舞台に立てない精神状態になってしまいます。

 髪を切り、男物の制服を着ることで一切の女性らしさを除外し、アイドルであったことを隠し、本名の神山仁那として高校に通いだします。

 まだ犯人は捕まっていない中、仁那の周囲にはたびたび怪しい人物が浮上……。主人公に優しくしてくれる同級生・堀内光、クラスの男子から人気の美少女・長栖未玖、親切に心配してくれる教師……。疑いたくないけど警戒してしまう仁那。はたして、仁那に安息の日々は訪れるのでしょうか。

 今まで少女漫画における「アイドル」の取り扱われ方は、女の子たちの「憧れ」そして「目標」でした。沖縄アクターズスクールで奮闘する女の子や、アイドルをしながらも恋にも積極的な女の子。私たちの目にはキラキラとその姿は映されていました。

 しかし今回の主人公・仁那は、そのアイドルを辞めた後の少女。

 この物語は、握手会における傷害事件から始まる衝撃的なスタートを切るのです。「え? いいの?」と思わず驚きのあまり口から出て、口が塞がらないまま1冊読み切ってしまいます。

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