「『褒められたい』って思った気持ちが今でもあるのかもしれません」
――おごることなく、誰よりも自分に厳しく接しながらマンガを描かれているんですね。
もちろん嬉しいこともたくさんあって、ドラマ化もそうですし、『ファイブ』以外にも挑戦させていただいているんですが。
デビューさせて頂いたとき、その月のデビューは2人だったんですが、もう1人の方がスゴく作画も上手い方で、べた褒めされていたんです。
逆に私はギリギリのデビューで、そのとき雑誌に載った批評が「画もヘタだし、内容も良くない」と酷評だったんですね(笑)。
ただもう「若さを買います」というだけの状態でデビューが決まって、もちろん嬉しかったんですが、同じぐらい悔しい思いがありました。
でも嬉しいだけのデビューだったら、その後の漫画家人生が違ったものになっていたかもしれないですね。
以前、当時の担当編集者さんにその話をしたら、「それ、自分の中で話が曲がっているんじゃない?」ってことになったので、その時の雑誌を読み返してみたら、やっぱり酷評されていて。「よくデビューできたね」って言われたので、「私もそう思います」って返しました(笑)。
その酷評を見たときに悔しくて、「褒められたい」って思った気持ちが今でもあるのかもしれませんね。
アシスタントさんたちがたまに、「この画すごくいいですね」って言ってくれることがあって。原画に対してアシスタントさんが意見を言うことってあまりないので、言ってもらったときにすごく嬉しくて。そういったことが「次回も良い原稿を描きたいな」って思えるきっかけになるし、やっぱり褒められたいですね(笑)。
褒めてもらうのって贅沢なことだな、と思います。
さらに今回、『ファイブ』シリーズを彩った名場面を作り上げた珠玉の原稿を紹介するスペシャルムービーを制作。以下でぜひご確認ください!