「たった1人でも読んでくださる方がいれば」
――さて話は変わりますが、『ファイブ』には実に様々なタイプの男性キャラクターが登場します。そこで、ふるかわ先生が実際に好きな男性のタイプをお聞きしてもよいでしょうか?
尊敬できる人で、仕事を頑張っている人。でも頑張っていてもその仕事が好きじゃない人は苦手です。あとは穏やかな人ですかね。振り回されたくないので(笑)。
――なるほど(笑)。ご自身の恋愛経験がマンガに生かされていたりすることはあるんでしょうか?
それは別物ですかね。ただ、恋愛感情にかかわらず、キャラクターには私の価値観が遺伝子として組み込まれているかもしれません。
例えば担当編集者さんとキャラクターの描き方で意見がぶつかったときは、自分の価値観として絶対にない提案をされたときなんですよね。正解だったとしても、価値観としてイヤなものは描けないので。
逆に自分ではしない行動や発言も、「このキャラクターならするよね」と思ったら描きますし、それが「キャラクターが勝手に動く」ということだと思います。
――そんな魅力的なキャラクターに溢れている『ファイブ』ですが、作品を応援してくださるファンのみなさんは、ふるかわ先生にとってどんな存在ですか?
読んでいただける方がいなかったら漫画家としてはやっていけません。とくに『ファイブ』は長い作品で、小学生だった方が今は結婚して子供を産んでいたりします。「引っ越しをしてもマンガを持っていきます」と言って頂いたりするのも、すごく幸せです。
大げさな言い方かもしれませんが、たった1人でも読んでくださる方がいれば、私は漫画家として生きていられるんじゃないかと思っています。
定期的にお手紙を頂いている方もいらっしゃって、結婚式の写真を同封してくださったりするんですが、もはや親族の立場というか、「知り合ったときは子供だったのに立派になって」と思ったり(笑)。
お子さんが産まれたときに「名前を“ひな”にしました」と言っていただいたときには、私がその方の人生に少しでも関われたのかな、と思えて嬉しくなります。