試合以上に熱かった! 一歩VS間柴、宮田&千堂VS鷹村も…『はじめの一歩』読者を大興奮させた「名スパーリング」の画像
森川ジョージ『はじめの一歩』第128巻(講談社コミックス)

 森川ジョージ氏による大人気ボクシング漫画『はじめの一歩』には、公式試合以上に読者をワクワクさせるスパーリングが数多く描かれている。

 連載初期の幕之内一歩VS宮田一郎の対決をはじめ、主人公の一歩だけでなく、サブキャラクター同士のスパーリングにも熱の入ったドラマが描かれた点も、本作の大きな魅力だろう。

 そこでここでは、試合以上に読者を大興奮させた「ワクワクした名スパーリング」を厳選して紹介していこう。

 

※本記事には作品の内容を含みます。

 

■因縁が爆発した2度のスパーリング…幕之内一歩VS間柴了

 一歩が好意を寄せるヒロイン・間柴久美の兄であり、“死神”という異名を持つのが間柴了だ。作中で2人が拳を交えた2度のスパーリングは、いずれも本気の激突となった。

 初のスパーリングは、一歩のマルコム・ゲドー戦前に行われた。“腕が伸びる”という噂があるゲドーを想定し、鴨川源二会長が選んだのが、長いリーチを誇る間柴だった。

 間柴が珍しくヘッドギアを付けるなど、緊張感が漂う中でゴングが鳴らされる。開始直後から嵐のようなフリッカージャブが一歩を襲うが、距離を詰めた一歩も強烈なボディブローを放つ。これに怒った間柴が必殺のチョッピングライトを繰り出すも、一歩は紙一重で回避。

 間柴が接近戦克服のために編み出した右アッパーを一歩の顎に突き上げれば、一歩のほうもデンプシー・ロールからの右フックで応戦する。最後は激しい相打ちとなり、白熱したスパーリングは両者譲らず痛み分けに終わった。

 2度目のスパーは、間柴が世界王者マーカス・ロザリオと対戦する前に行われた。サウスポーのインファイターであるロザリオの動きを再現できるとして、一歩がパートナーへ立候補するのである。

 すでに現役を引退していた一歩の身を案じて周囲は反対するが、「(自分が間柴を)ケガさせてしまわないか不安だ」という彼の発言が間柴には煽りと受け取られ、結果的にこのスパーリングが実現した。

 手足の重りを外した一歩の動きは現役時代を彷彿とさせるほどで、ロザリオのコピーも完璧。間柴は一歩を相手にロザリオ対策を試し、手応えを感じる。一歩も役に立てて安堵する様子を見せていた。

 だが、約束の3ラウンドが終了しても、間柴はまだ続けるように言う。その真意は、妹・久美と一歩がキスしようとしていたのを目撃していたことによる私怨だった。それを察知した一歩も応戦し、未来の義兄弟対決は再び壮絶な殴り合いの末、痛み分けとなっている。

 恋愛に奥手で、久美との距離はなかなか縮められない一歩。だが、その兄に対しては思いっきり踏み込んでいったのも見ものだった。

■「本気で盗め!」宮田&千堂が挑んだ鷹村守の地獄授業

 作中最強のボクサーといえば、やはり一歩の兄弟子・鷹村守だろう。階級が違うフェザー級ながら果敢にも彼にスパーリングを挑んだのが、一歩のライバルでもある宮田一郎と千堂武士だ。

 まだ新人王戦の頃、千堂が鴨川ジムに訪れた際に、鷹村との1回目のスパーリングが実現する。当初、鷹村は高等技術を披露して千堂に勉強させていたが、本気の“どつきあい”を求める千堂は、わざと肘を鼻に当てて「意味がない」とつぶやいてしまう。

 これに怒った鷹村は千堂を殴りつけるが、千堂も初披露のスマッシュを鷹村にクリーンヒット。その威力は鷹村も認めるほどだったが、最後は当然のように気絶させられる結果に終わった。

 しかし、この激闘がきっかけとなり、千堂は攻撃型へとシフトしたスマッシュをさらに改良し、のちに一歩に挑むこととなる。

 一方、宮田は鷹村の合宿中にスパーリングを行っている。宮田はスピードを活かしたフットワークと手数で鷹村を攻め立てるが、最小限の移動で巧みにリングを使う鷹村に、あっという間にコーナーへと追い詰められてしまう。得意のカウンターで活路を見出そうとする宮田だったが、鷹村に片手で軽く弾かれ、「貧弱」と言われながらボコボコに叩きのめされてしまった。

 そして鷹村は、宮田がカウンターにこだわり過ぎて体が開いている点や、後半のスタミナ不足を的確に指摘し、「たった一人でも走り続けろ」と貴重なアドバイスを送った。

 さらに千堂は、絶対王者のリカルド・マルチネス戦の前にも、鷹村と2度目のスパーリングを行っている。千堂を圧倒する鷹村だったが、千堂は対リカルド用の秘密兵器を隠し持っていた。

 それは、スマッシュを放つと見せかけたフェイントから、右腕を目元において視線を遮り、そこから再度スマッシュを叩きこむという奇策だ。これが鷹村にヒット。不意を突かれて怪獣のように暴れ回る鷹村だったが、実はこれは千堂を世界戦に向けて焚きつけるための行動だった。

 練習後、鷹村は観戦していた宮田に対し、千堂の発想の良さと足りない部分を伝え、「協力してやれ」と言い残している。

 鷹村という存在は人間性こそ破天荒だが、千堂や宮田にとって超一流の先輩でもある。だからこそ、彼の厳しい指摘やアドバイスを、彼らは素直に受け入れることができるのだろう。

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