■【閃きのファンタジスタ】予測不能なプレーで局面を変える『エリアの騎士』荒木竜一
『エリアの騎士』(原作:伊賀大晃氏・作画:月山可也氏)からは、閃きで観客を魅了するファンタジスタ、荒木竜一を紹介したい。
江ノ島高校サッカー部ではトップ下のポジションに君臨し、一瞬の閃きから生まれるパスやシュートでチームを勝利に導いてきた。彼の真価が発揮されたのが、全国高校サッカー選手権大会の神奈川予選決勝、強豪・鎌倉学館戦でのフリーキックの場面だ。
前半終了間際に得たフリーキックのキッカーを務めた荒木は、無回転シュートの名手・世良右京を前に、「無回転シュートがお前の専売特許だとか思ってねーだろうな?」と挑発。警戒させた上で彼が放ったのは、鋭く曲がるカーブシュートだった。
ボールは惜しくも外れてしまうが、“全然揺れなかった(無回転ではなかった)じゃないか!”と憤る世良に対し、「でも—— 心が 揺れただろ?」と不敵に返す。これは相手の心を支配し、次に何を繰り出してくるか読めない彼を象徴する名場面だ。
この試合では心理戦だけでなく、見事なダイレクトボレーで決勝点を決めており、得点力の高さを証明。さらに、全国大会決勝の東京蹴球学園戦では、自らゴールを決めるだけでなく、延長後半に主人公・逢沢駆への絶妙なスルーパスで決勝点をアシストするなど、勝負強さも際立っている。
一方で何度もダイエットに失敗するなど、いじられキャラとしての一面も持つ荒木。完璧ではない人間味のある部分も、予測不能なプレーと相まって彼の魅力を引き立てているのだ。
■【縦横無尽のオールラウンダー】守って攻めて走れる司令塔『GIANT KILLING』椿大介
プロサッカークラブの監督が主人公という異色の作品『GIANT KILLING』(ツジトモ氏、原案・取材協力:綱本将也氏)からは、プロチーム「ETU」に所属する椿大介を推したい。
チームにはすでに10番を背負う絶対的な司令塔のルイジ吉田(ジーノ 通称:王子)が君臨しており、当初の椿はそこまで目立つ存在ではなかった。
自信家で自己中心的なジーノとは対照的に、椿は気弱で自信なさげな性格。しかし、抜群の運動量と足の速さを武器にピッチ全体を縦横無尽に駆け回り、攻守にわたってチームを支える中心選手へと成長していく。
印象的だったのが、川崎フロンティアとの一戦で見せたロングスルーパスだ。自陣の前でボールを持つと、一気に前線へ正確なパスを出し、試合を決定づけるゴールを演出した。
また、精神面での成長も著しい。劣勢が続いた名古屋グランパレス戦では、周囲に合わせるプレーを捨てて、がむしゃらに“わがまま”なプレーをすることを意識。
ジーノに対しても「遅いっ!!」とダメ出しし、その後、「走ってください王子!!」と、チームで初めてジーノを走らせるまでに変貌を遂げる。このプレーをきっかけにジーノに認められ、同点ゴールを演出したシーンは彼の成長を象徴する名場面だ。
無尽蔵のスタミナを誇り、試合終了までピッチを走り回れる椿は、理想的な“走れる司令塔”といえるだろう。
ここまで、それぞれ異なるプレースタイルと個性を持った5人の司令塔を紹介してきた。
現代サッカーにおける司令塔という視点で考えると、戦術眼に優れた『アオアシ』の栗林が一番理想に近い存在かもしれない。
だが、総合力で考えると『キャプテン翼』の大空翼が、やはり群を抜いているのではないだろうか。
彼は中学生の段階ですでに日本代表のトップチームにも選ばれ、世界を相手に得点を決めている。世代別にカテゴリーが分かれている現代と単純比較はできないが、それでも攻守に渡って世界水準の高度なプレーを見せてきた翼こそ、サッカー漫画史上最高の司令塔ではないかと思う。
あなたの思う「最高の司令塔」は、いったい誰だろうか?
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