人気ファンタジー漫画『葬送のフリーレン』(原作:山田鐘人氏、作画:アベツカサ氏)では、激しく展開される魔法戦も見どころの1つだ。テレビアニメ版では映像ならではの美麗な魔法演出も加わり、「神作画」「すごすぎて涙出た」といった称賛の声があがるほどファンからの評価も高い。
そして見応えある魔法戦をさらに楽しませてくれるのが、魔法使い同士の駆け引きが熱い頭脳戦だ。はるかに上回る魔力を持つ強敵に対し、巧みな作戦を駆使して勝利する展開は、王道ながらも盛り上がるものだ。
そこで今回は、『葬送のフリーレン』で思わずうならされた魔法を用いた「頭脳戦」を3つご紹介しよう。
※本記事には作品の内容を含みます。
■捕獲困難な隕鉄鳥を捕まえるため…フリーレンの経験と知恵が光った一級魔法使い試験
まずは、「一級魔法使い試験編」の一次試験におけるフリーレンの頭脳プレイを見てみよう。
一次試験でフリーレンは、ラヴィーネ、カンネとパーティーを組んで“隕鉄鳥(シュティレ)”を捕獲する試験に挑む。
隕鉄鳥は一見すると普通の小鳥だが、非常に頑丈で拘束も攻撃も一切通用しない。音速を超える速度で飛び回り、さらに魔力が残っている場所には決して近づかない優れた感知能力を持つ。その上、自身は魔力を持たないので探知も困難……と極めて捕獲が難しい鳥だ。
正攻法で捕まえるのは不可能と判断したフリーレンは、試験会場が結界で区切られた森である点に着目、ある作戦を実行に移す。
まず、試験会場内に点在する水場に、カンネやラヴィーネの魔法で魔力を込めていく。魔力に敏感な隕鉄鳥は魔力のある水場に近づかないが、生き物である以上、水分補給は不可欠だ。
その結果、隕鉄鳥は魔力が込められていない唯一の水場を探し求めることになる。つまり、フリーレンたちはその場所で隕鉄鳥を待ち伏せすることが可能となるのだ。
あとはフリーレンが得意とする魔力隠匿で獲物を待ち続け、「鳥を捕まえる魔法」の有効射程である50cmに近づいた瞬間を狙って発動。こうして何重にも仕掛けられた罠にまんまと誘い込まれた隕鉄鳥は、フリーレンによって捕獲されたのだった。
このエピソードでフリーレンは、2人の若い魔法使いをリードする姿がいつも以上に頼もしかった。さすがは年の功……と言うと本人は静かに怒りそうだが、彼女の経験と知恵が光る印象的な頭脳プレーであった。
■いかに隙を突く!? フリーレン&フェルンVSフリーレン複製体
同じ「一級魔法使い試験編」から、生きるか死ぬかの緊張感でヒリつく展開となった「フリーレン&フェルンVSフリーレン複製体」を振り返ってみたい。
二次試験の舞台となったダンジョンで、受験者たちは魔物が生み出したフリーレンの複製体と遭遇。対象を完璧に模倣する複製体は、かつて世界を救った大魔法使いと同じ実力を持つ最強の敵であることを意味していた。
この最大のピンチに、他の受験者たちはフリーレンとフェルンの師弟タッグに命運を託す。実はフリーレンには、彼女自身も熟知する2つの大きな弱点があった。1つは魔法を使う一瞬、魔力探知が途切れること。そしてもう1つは、弟子のフェルンを格下だと侮っていることだ。
複製体がフリーレンの完璧なコピーであるなら、これらの弱点も再現されているはず。そこで師弟は2人がかりで複製体に挑み、フリーレンが隙を作り出し、相手の警戒が薄いフェルンが仕留める作戦に打って出る。
作戦は概ね順調に進み、フェルンの「一般攻撃魔法(ゾルトラーク)」が複製体を何度も捉える。しかし土壇場で、複製体が繰り出した正体不明の攻撃魔法がフェルンを襲う。その瞬間に生じた“隙”を、本物のフリーレンは見逃さなかった。最後は特大の「一般攻撃魔法」で複製体を完全に消滅させ、勝負を決めたのである。
当初の想定ではフェルンがとどめを刺す予定だったが、実戦ではフリーレン自身がその役を担ったことに胸躍ったこの一戦。作戦が破綻した瞬間、臨機応変の対応で即座に最適な戦略を組み立て直した柔軟さこそが、この頭脳戦の醍醐味といえるだろう。


