■和風でシリアスな世界観が人気を呼んだ『源平討魔伝』
『源平討魔伝』は、和風な作品世界というのも珍しかったですよね。当時、ナムコが制作した本作の攻略ビデオのようなものがあったんですよ。そこに、実写で撮影されたプロモーション映像が収録されていて、「ここまでやるのか」と世界観に感心したのを覚えています。
ナムコの映像作品といえば、雨宮慶太監督による『未来忍者』(1988年)という特撮映画があって、私はめちゃくちゃ好きでした。実は『源平討魔伝』プロモーション映像も雨宮慶太監督が手掛けていたようなんですが、両作品になにかつながりがあったのかまではわかりません。でも、実写の映像でナムコがやりたいことは伝わってきて、そこにひかれたんですよね。
ゲームの話に戻ります。和風テイストに仕上げられた音楽も、クリエイターさんの感覚が見事だなって思いました。中でも、ボーナスステージの曲がめちゃくちゃカッコよくて、好きでしたね。
そうそう、「だじゃれのくに」という、スタッフさんの似顔絵とともにゲームにちなんだダジャレが表示されるステージがあって、そこのBGMがふざけているんですよ(笑)。あんなにシリアスでおどろおどろしい世界観の作品を作っておいて、突然「笑い」を入れてくるっていうのがスゴイ。ナムコの社風だったんでしょうか、楽しそうな会社だなって思いました。
アーケードで『源平討魔伝』が登場した頃、私は高校生で、「ゲームセンターでお金をつぎ込まなくても、いずれ家庭用が出たらそのときにクリアを目指せばいいかな」みたいな考えになっていました。でも、PCエンジン版でも結局クリアできませんでしたね(笑)。
その後、PCエンジンで独自にリリースされたのが、続編にあたる『源平討魔伝 巻ノ弐』です。1作目と違って、ビッグモードだけで構成されています。
あの『源平討魔伝』の続編とあって、当時かなり期待しました。しかもシリーズ作品といえば、他はファミリーコンピュータ版の“スゴロク”しかありませんからね。「絶対に押さえておかなきゃ」と購入したのですが、期待が高すぎたようで……(笑)。こちらも、クリアすることはありませんでした。
ちなみにファミコン用『源平討魔伝』(1988年)は、ボードゲームという、まったく違うジャンルでのリリースでした。オリジナルからここまで変わってしまうと、「押さえておかなきゃ」とも思わなくて、私は買わなかったんですよね。
でも、忠実な再現が難しい移植版を無理にやるより、ゲーム機のスペックにあった形にアレンジして世に出したことは、今となっては正しかったのかなと思います。
私が勤めていたテクノスジャパンでも、ファミコンの『熱血硬派くにおくん』でアーケードの完全再現には失敗してしまったわけですが、その後、ファミコンに合わせた『ダウンタウン熱血物語』がヒットして、シリーズにつながっていきましたからね。
なお、PCエンジンの『源平討魔伝 巻ノ弐』は8800円(税込)、ファミコンの『源平討魔伝』はボードゲーム用の地図やコマなど付属品が揃った完品で9900円(税込)で販売中です。
※ソフトの値段や状態などは取材時のものです。
【プロフィール】
大竹剛(おおたけ・つよし)
「レトロゲーム」に造詣が深い“元ドット絵職人”。ゲームメーカー「テクノスジャパン」で、主に『くにおくん』シリーズにドッターとして参加。現在は「ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店」で店長を務める。本人もレトロなゲームのコレクター。


