■タイトルからして刺激的! 女子高生たちのひと夏の経験『夏・体験物語』
1985年の夏に放送された『夏・体験物語』(TBS系)は、『毎度おさわがせします』で一躍スターとなった中山美穂さんが主役を務めたドラマだ。タイトルに含まれる「体験」という言葉が何を意味するのか、当時のティーンエイジャーたちはタイトルだけで胸を高鳴らせたものである。
物語の舞台は、とある女子高生の寮。中山さん演じる杉本由起をはじめとする仲良し4人組が、夏休みに訪れた高原の別荘で“初体験”を済ませようと画策する刺激的なストーリーである。
当時のPTAが聞けば卒倒しそうな筋書きであり、各話のタイトルも過激である。“誰が一番早く体験を済ませるか”を競い合い、ナンパやデートに繰り出す少女たちの姿は、まさにバブル景気へと突き進む当時の軽やかで浮かれた世相を色濃く反映していた。
翌1986年に放送されたパート2ではキャストが一新され、『毎度おさわがせします』のオーディションをきっかけにデビューした藤井一子さんが主演を務めたほか、志村香さんや山口かおりさんといった当時のアイドルたちが生徒役で多数出演している。
また、両作品ともに共通して教師役で出演した吉幾三さんの過激なキャラクターや、女子プロレスラーのダンプ松本さん、ブル中野さんらと格闘する破天荒なシーンも大きな話題を呼んだ。
今振り返れば、10代の性をここまで赤裸々に描いたドラマがゴールデンタイムに放送されていたことに改めて驚かされてしまう。コンプライアンスが厳格化された現代では決して制作不可能であろう、昭和ならではのギラギラとしたエネルギーに満ちた作品であったといえる。
令和の時代からは到底考えられない、昭和に放送されたインパクト絶大のドラマたち。当時、清純派アイドルとして大活躍していた少女たちが、体当たりの演技で肌をあらわにする姿は、現代の視点で見返しても驚かされるばかりだ。
今回紹介したドラマは、放送当時から賛否両論を巻き起こした作品でもあったが、視聴者に強烈な印象を残したのは確かだ。家族が揃ったお茶の間で、気まずい空気に耐えながらもテレビから目が離せない……。それは、まさに昭和という時代ならではの、貴重な体験だったのかもしれない。


