■「完全に俺の癖(へき)を直撃してきたのです」
そして何を隠そう、俺はこの手の「優しさの皮をかぶった残酷さ」が大好物です。
猪俣周杜がそれを演じきった瞬間、脳が震えました。取り調べで、証拠を突きつけられた瞬間に表情がスッと変わる。あの無表情から微かに浮かぶ満足げな笑み。完全に俺の癖(へき)を直撃してきたのです。
普段のtimeleszの活動で見る猪俣周杜は、天然で一生懸命で、ちょっと抜けてるけど愛嬌のある新人アイドルというイメージでした。それが同じ顔で淡々と「僕は殺してなんかいません。言うなれば自殺ほう助…」と語る声のトーンを聞くと、同一人物とは思えなくなる。ギャップがエグい。エグすぎて最高。相手をじっと見つめる目の奥に、何か光るような冷たさがある。あの目は忘れられない。忘れたくない。
脚本がオリジナルで、しかもライターズルーム方式(ひとつのドラマを担当する複数の脚本家が集いシーズン全体のストーリー展開から各エピソードの構成までを決めていくシステム)だからこそ、こういう極端にエッジの効いた犯人像が出てくるのでしょう。
広報課の今泉が、犯人の存在をどうメディアに晒すか、どう世論をコントロールするかを葛藤する中で、川畑礼介はただの殺人鬼じゃなく、社会の「自殺願望」という闇を映す鏡として機能してる。猪俣の演技がその鏡をより鋭く研いでる感じ。アイドルがこんな役をやることで、逆にドラマのテーマが際立つのです。


