数万円から数十万円の値段がつくこともある「レトロゲーム」の世界。そんなソフトがズラリと揃う『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』の店長にして、自身も大のゲームコレクターである大竹剛氏が、毎回1本のソフトを語るこの連載。今回、ショーケースに並ぶソフトの中から取り上げるのは——?
■発売当時は存在を知られていなかった!? 『ドンキーコング2』
ハードオフ大竹店長の「レトロゲームちょっといい話」第31回
『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』の店長、大竹剛です。前回に引き続き、任天堂の『ゲーム&ウオッチ』のお話です。1980年から発売された、携帯型の液晶ゲーム機のシリーズで、当店でも取り扱っています。
私自身も個人的に収集していて、以前、ファミリーコンピュータ用のソフト『ドンキーコング3』のお話をした回では、私物のゲーム&ウオッチ『ドンキーコング2』をお見せしました。こちら、実はかなりのレアアイテムなんですが、写真で紹介しただけだったので、この機会に少し説明しましょう。
ゲーム&ウオッチの『ドンキーコング』(1982年)は、上下2画面折りたたみ式の「マルチスクリーン」でした。これがよくできていて、下の画面ではアーケード版の1面……つまりタルが転がってくるステージを、上の画面では鉄骨をはずしてドンキーコングを落とす4面のエッセンスを、うまく表現しているんですよね。
ゲームセンターで人気だった『ドンキーコング』がゲーム&ウオッチで遊べるとあって、大ヒットしました。まだ、ファミコン版どころか、ファミリーコンピュータ本体が発売される前のことです。
その後、ドンキーコングシリーズの2作目である『ドンキーコングJR.』のゲーム&ウオッチ版も、大きな画面の「ワイドスクリーン」で1982年に発売されました。アーケード版の1、2面を再現しているような感じで、これまた人気だったと記憶しています。
このふたつは、私も当時持っていました。ところが、1983年にマルチスクリーンで出た『ドンキーコング2』については、当時まったく知らなかったんですよ。大人になってから存在を知って、欲しくなって買いました。
下の画面はゲーム&ウオッチ版『ドンキーコングJR.』と似た印象なのですが、上の画面はアーケード版『ドンキーコングJR.』の最終面を完全移植していると感じるほどの内容。本当に秀逸でした。
ただ、どうやら当時、『ドンキーコング2』の存在を知らなかったのは私だけではなかったみたいで、あまり売れなかったようです。なので、数が少ないのでしょう。ファミコンの発売よりも数か月前に出ていたらしいのですが、すでにユーザーの興味はファミコンに移っていた気がします。
また、ドンキーコングシリーズの2作目はあくまでも『ドンキーコングJR.』であって、アーケードに『ドンキーコング2』というタイトルは存在しないんですよね。そのあたりもマイナスに影響したのかもしれません。


