■一目で気付くのは至難の業?『リアル鬼ごっこ』斎藤工

 山田悠介さんの小説を原作に、ドラマ、映画などさまざまなメディア展開を続けてきた『リアル鬼ごっこ』。

 2015年には園子温監督の手掛ける映画第5作目が公開されたのだが、本作で驚きの老人姿を披露したのが、斎藤工さんである。

 女子高が舞台となる本作のなかで、斎藤さんは数少ない男子高校生役として登場。持ち前の端整な容姿で観客を魅了する一方、実は特殊メイクを施し、とある重要な場面に登場する老人役も同時に演じていたのだ。

 総白髪の頭に深くしわが刻まれたたるんだ肌……と、徹底した作り込みにより、一見してこの老人が斎藤さんだと見抜けた観客は少なかっただろう。この変身には、なんと4時間半もの特殊メイクが必要だったというのだから、さらに驚かされてしまう。

 斎藤さんも老人役を演じるのは本作が初挑戦だったとのことで、実に貴重な体験になったと語っている。

■俳優と役柄の雰囲気を見事に融合…『テセウスの船』鈴木亮平

 東元俊哉さんの漫画を原作とし、2020年からTBS系「日曜劇場」枠で放送されたのが、ドラマ『テセウスの船』である。

 主人公の青年が平成元年へとタイムスリップし、父が起こしたとされる毒殺事件の真実を追うヒューマンミステリー作品だ。

 本作で、主人公の父・佐野文吾役として老人役を披露したのが、鈴木亮平さんである。 徹底した役作りで知られる鈴木さんだが、本作では特殊メイクを用いて、佐野の年老いた姿を体現。物語の過去の時間軸では、村の若き駐在警察官として登場する佐野だが、事件がきっかけで死刑囚となり、老いた姿で拘置支所に収容されている。

 過去のはつらつとした姿から一変、無実の罪を背負わされたこと苦悩と疲弊が滲み出る、重苦しい雰囲気の老人姿で鈴木さんは登場。鈴木さん本人の面影を残しつつも、白髪交じりの頭や顔のシミ、しわからは、数十年の間、佐野が虐げられてきた過酷な時間の重みが伝わってくる。

 鈴木さん自身もこの老人となった顔には興味津々だったようで、「30年経ったら、このような顔になるのか」と感慨深くなってしまったようだ。

 

 役者の見た目をがらりと変えてしまう特殊メイクは、俳優の年齢という枠さえも軽々と飛び越えさせ、役柄の可能性を大きく広げる技術である。

 あまりの変貌ぶりに、一見すると誰か分からず、スタッフロールで名前を見るまで演じている俳優に気づかず、思わず驚いてしまった視聴者も多いのではないだろうか。

 今回紹介した俳優たちは、特殊メイクで老人の姿になりながらも、元々の容姿や個性を絶妙に残している。そのリアルな姿は、彼らの役者としての力量の高さを示すとともに、自然と彼らの老後を想像させるのだから面白い。 

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