■「プレステってすげぇ…」思わず感心した名曲

 バトル音楽でいうと『ファイナルファンタジーVII』の『更に闘う者達』も好きです。

 中ボス戦で流れる音楽ですが、痺れるギターソロから始まり、疾走感溢れた楽曲。『FF7』はアクティブタイムバトルですから、コマンド選択に悩んでいると敵からどんどん攻撃を受けてしまいます。それに加え、疾走感あふれるこの曲のおかげで脳内にはアドレナリンが湧き出て、すっかり主人公気分で戦っていました。

 ちなみに『ビッグブリッジの死闘』も『ザナルカンドにて』同様に「殿堂入り」。ですが、好きな曲は、『FF』だけでもまだまだあります。

 シリーズでは『ファイナルファンタジーVIII』から、ヴォーカルつきの曲も登場しました。「プレイステーションってすげぇ……」と当時思ったものです。歌うのはフェイ・ウォンさんという香港の歌手で、タイトルは『Eyes On Me』。

 ジュリアという女性が、ラグナという男性と出会い、惹かれ合い、その思いを書いた曲です。ゲーム音楽としては異例の50万枚超えの大ヒットを記録した名曲で、英語歌詞のとても美しい詩とメロディです。映画『アルマゲドン』の主題歌、エアロ・スミスの『I Don’t Want to Miss a Thing』と並ぶ傑作ロマンチックソングだと思います。

 『Eyes On Me』を挙げたら、『Melodies of Life』に触れないわけにはいきません。こちらは、『ファイナルファンタジーIX』のエンディング曲です。

 歌うのは、透明感ある優しい歌声の白鳥英美子さん。白鳥英美子さんといえば映画『ドラえもん のび太のドラビアンナイト』のエンディング曲『夢のゆくえ』も名曲。白鳥さんの歌声はファンタジーの世界にピッタリなのです。

 楽曲の美しさはさることながら、注目したいのは歌詞。私は『FF9』から死生観を学びました。大げさではなく、『FF9』はファンタジーの世界で、真正面から「命」をテーマに物語を描いています。

 そして、歌詞の中に込められているのも、“命というものは永遠に続いていく”というメッセージ。

 私がプレイしたのは、中学に上がるくらいの頃だったでしょうか。「死への恐怖はもちろんあるけれど、私を思ってくれる、覚えていてくれる誰かがいれば、私の命は続く」と、自身の死生観が育まれたゲーム体験でもありました。

 さて、勢いのまま、ここまで『ファイナルファンタジー』シリーズだけで語ってきましたが、実は紹介した音楽はほとんど、作曲家の植松伸夫さんが手掛けた曲です。植松さんの音楽で私の思春期は彩られたと言っても過言ではありません。

 もちろん『FF』シリーズ以外にも、記憶に残ったゲーム音楽はたくさんあります。次回も、私の好きなゲームの楽曲について、お話したいと思います!

 

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【プロフィール】
宇内梨沙(うないりさ)
ポップカルチャーを心から愛する元アナウンサー。2015年、TBSテレビに入社。アナウンサーとして多数の番組を担当する一方、ラジオやYouTubeなどでゲーム偏愛を披露。2025年にTBSを退社し、現在は『Twitch』でゲーム配信者として活動中。

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