■歴史を改ざんした「排他的かつ自己中心的な村」
重いエピソードが多い『ドラクエ7』において、屈指のトラウマエピソードといえば「レブレサック」にまつわる物語を思い出す人も多いはず。『ドラクエ7』どころか、『ドラクエ』シリーズ全体でも一、二を争うほどの闇深いエピソードとして知られている。
過去のレブレサックを訪れた主人公一行。その村の教会には正体不明の魔物が棲み着いていたが、人に危害を加えるわけではなかった。しかし、村人たちはその魔物への憎悪を募らせていく。
やがて村人は主人公に魔物討伐を依頼するが、主人公たちは悲しそうな目をした魔物に同情的になる。すると村人は主人公たちも魔物の仲間だと疑いだし、岩山に幽閉するのだ。
結局、村の教会に棲み着いた魔物の正体は、村の神父だった。村を守るために魔物が出した条件をのんで、魔物の姿になって村に戻ったのである。
一方、村人はその魔物(神父)を痛めつけ、火あぶりにしようとしていた。魔物の姿から元の神父の姿に戻ったことで村人たちは真実に気づき、後悔して謝罪しようとする。しかし神父は、村人に罪悪感を抱かせないよう、夜明け前に村を去ってしまう。
自らの行いを反省した村人たちは「事件を忘れまい」と、この一件を記した石碑を建て、真実を後世に語り継ごうとする。
しかし事件解決後、主人公たちが現代のレブレサックを訪れると、過去の出来事は捻じ曲げられて伝わっていた。石碑の文言は改ざんされており、そこには「旅人(主人公一行)に化けた魔物が村を襲い、村人と神父が撃退した」というウソの過去が書かれていたのである。
さらに手に負えないのは、真実を知る一族の子どもが村全体からウソつき呼ばわりされていたことだ。
この状況を変えたいと思った主人公は村を探索し、ついに真実が記された石碑を発見。村長にその真実を告げるが「こんなものは村のためにならない」と石碑を破壊してしまう。
自分たちのメンツを守るために都合の悪い事実は隠蔽し、真実を知る一族への迫害を放置する行いには虫酸が走る。「自分たちさえ良ければいい」という考えが節々から見えるこの村の姿勢に、イライラが募ったプレイヤーも多いことだろう。
さらに物語後半では閉鎖的な村の悪いところがさらに加速し、「よそ者はすべて敵」という極論に発展している。まさに「救いようがない」という言葉がぴったりなエピソードだった。
『ドラクエ7』には、人間の生々しい部分を赤裸々に描いたエピソードが数多くある。その暗さ、重さが苦手だった人もいれば、ひとつの人間ドラマとして堪能した人もいるだろう。
個人的には単なる勧善懲悪にとどまらない点が『ドラクエ7』の魅力に感じたので、『リイマジンド』では、こうしたエピソードがどのように描写され、どんな新エピソードが追加されるのかも注目したい。


