2026年2月5日に発売が予定されている『ドラゴンクエストVII Reimagined(リイマジンド)』(スクウェア・エニックス)。『ドラクエ7』は2000年にPlayStationで発売された『ドラクエ』シリーズのナンバリングタイトルであり、『リイマジンド』はそのフルリメイク作品となる。
すでに発表されている情報によれば、『リイマジンド』ではシナリオが再構築され、「クレージュ」「リートルード」「プロビナ」の3シナリオが削除されるという。
『ドラクエ7』といえば、重く悲しいシナリオが多いのも特徴。しかし、その重厚なストーリーこそが同作の魅力のひとつでもあった。そこで今回は当時の『ドラクエ7』プレイヤーにトラウマを植えつけた、とくに考えさせられる暗いエピソードを振り返ってみたい。
※本記事には『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』作品の内容を含みます。
■初手からトラウマエピソードが!?
まず紹介したいのは「ウッドパルナ」から。最初に訪れることになる石板世界「ウッドパルナ地方」は、本作を代表するトラウマエピソードとしても知られる。
PlayStation版『ドラクエ7』は導入部分からボリュームがあり、普通にプレイすると最初の戦闘までに1時間ほどかかる。苦労して話を進め、やっとスライムとの戦闘に突入したとき「ここから俺のドラクエ7が始まる!」と心躍ったものだ。
しかし、そのウッドパルナでいきなり重苦しいストーリーが展開され、心にダメージを負った者も少なくないだろう。
主人公たちが最初に村を訪れたときに優しくしてくれる女性、マチルダ。実は彼女こそがこの村を襲っている魔物のボスであり、主人公と戦うことになる。
そのマチルダは村人に裏切られて魔物に殺された英雄パルナの妹であり、村人への憎しみを募らせて魔物へと変貌してしまうのだ。
パルナやマチルダの悲惨な境遇には同情するほかないが、ウッドパルナを救うにはそんなマチルダを倒すしかない。プレイヤーもその重要な決断を迫られる。
しかし、いざ戦闘が始まってもマチルダは一切攻撃してこない。防御行動しかとらず、こちらが一方的に攻撃できる。なお、マチルダと戦いたくない場合は「逃げる」ことで戦闘を終わらせることも可能で、これは『ドラクエ』のボス戦では非常に珍しい仕様だった。
だが、どの選択をとろうとも、結局マチルダは命を落とし、そのことでウッドパルナは救われる。このあまりにも後味の悪すぎる結末に、「これが『ドラクエ7』なのか……」と動揺が隠せなかったプレイヤーも多いのではないだろうか。
■「モンスターは敵? 味方?」 究極の選択に苦悩…
「ルーメン地方」で展開されるストーリーも『ドラクエ7』を代表するトラウマエピソードのひとつ。人によっては「ルーメン」ではなく、「チビィのイベント」と呼んだほうがピンとくるかもしれない。
ルーメンは三度も災厄に襲われる町だ。一度目は魔王オルゴ・デミーラの手によって、一帯が闇におおわれ、光を奪われてしまった。しかし、これだけではトラウマエピソードとはいえず、問題は二度目と三度目の災厄である。
二度目の災厄とは「ヘルバオム」という巨大な食人植物の魔物による襲撃だ。町が闇におおわれているときは息を潜めていたヘルバオムは、主人公たちが一帯に光を取り戻したことで復活する。
町のいたるところにヘルバオムの根っこが現れ、住民たちを地面に引きずり込む様子は、まるでパニックホラー映画を観ているような展開で、かなりショッキングだった。
そして三度目の災厄というのが、「チビィ」にまつわるエピソード。ヘルバオムの根っこについていた虫(実は小さなヘルワーム)を、住民の一人がペットとして飼いだしたことから始まる。
チビィと名付けられた虫はみるみるうちに大きくなり、飼い主以外の住民から「また町に災いをもたらすのでは……」と恐れられるようになる。そして、その不安が頂点に達したとき、住民のあいだでチビィ討伐の話が出て、主人公は選択を迫られるのだ。
チビィを逃がした場合、ヘルワームの大群が町を襲撃して滅びかけるが、チビィが身を挺して町は守られ、チビィは命を落とす。
一方、主人公がチビィを倒した場合も、やはりヘルワームの大群が町を襲撃。あまりの大群に主人公やチビィの飼い主らは身を隠してやり過ごすが、そのままルーメンの町は完全に滅びてしまう。
この選択の場合、まるでチビィが人間を恨んで町に仲間を呼び寄せたようにも見え、あまりにも救いがない後味の悪い結末を迎えるのである。
主人公がどちらを選んでも、必ず何らかの悲劇が訪れるというのが『ドラクエ7』らしいところだ。


