■まさかのメタルギアVSメタルギア!『メタルギアソリッド4』メタルギアRAY
『メタルギア』シリーズの歴史は、核搭載二足歩行型戦車「メタルギア」との戦いの歴史といえる。巨大メカであるメタルギアを、主人公が知恵とテクニックを駆使して倒すボス戦はシリーズお決まりのシチュエーションだ。
しかし、近未来の世界を舞台にした『メタルギアソリッド4 ガンズ・オブ・ザ・パトリオット』では、その“定番”が覆されるメタルギアRAYとのバトルがあり、非常に印象深い。
シャドーモセス島に残された旧式のメタルギアREXを回収したオールド・スネークは、宿敵リキッド・オセロットが乗る新型のメタルギアRAYに行く手を阻まれる。生き残るには倒すしかなく、なんとスネークはREXを操ってRAYと戦うことになるのだ。シリーズ初の「メタルギアVSメタルギア」によるロボットバトルである。
この戦いでは専用の操作アクションが用意され、さながら3D格闘ゲームに近い感覚でREXを操作できる。開発者のオタコンが「趣味」で組み込んだという格闘プログラムで大暴れするREX、対メタルギア兵器として開発されたプライドにかけて迎撃するRAY。
両者の戦いは大怪獣のぶつかりあいにも似た迫力で、その圧倒的なスケールに「このボス戦を単品でゲームとして出してほしい」と思ったのは筆者だけではないだろう。
それまで倒すべき対象であったメタルギアを、よりにもよってメタルギアで倒す……シリーズを遊んできた人ほど戸惑い、そのシチュエーションの熱さに夢中になれる。個人的には、『メタルギア』シリーズで一番面白い名ボス戦だと思う。
戦争や核兵器など重厚なテーマを扱う『メタルギア』シリーズに対し、「難しそう」「シリアス」といった印象を持つ人は多いだろう。だが、実際は今回紹介したボスキャラたちのように、つい笑ってしまうような遊び心が散りばめられているゲームだ。
現実世界にも通ずる重いテーマと、「こんなのアリか?」と言ってしまいたくなるユニークな要素。この絶妙な緩急のバランスこそが、『メタルギア』シリーズの魅力といえるだろう。


