数万円から数十万円の値段がつくこともある「レトロゲーム」の世界。そんなソフトがズラリと揃う『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』の店長にして、自身も大のゲームコレクターである大竹剛氏が、毎回1本のソフトを語るこの連載。今回、ショーケースに並ぶソフトの中から取り上げるのは——?
■ピンクだったはずの箱がいつのまにか白に!? 『リトルマーメイド』の謎
ハードオフ大竹店長の「レトロゲームちょっといい話」第22回
『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』の店長、大竹剛です。前回、前々回と、カプコンのファミコンソフトが並ぶ棚を見ながらお話していますが、この『リトルマーメイド』(カプコン/1991年)も、コレクターの間で話題になるソフトのひとつです。
現在、当店には、取扱説明書と箱がそろった完品が2本あって、ひとつは3万9600円、もうひとつは4万9500円(いずれも税込)です。どちらも高いですが、価格に開きがあるでしょう? これは、「外箱の状態」の差によるものです。
安いほうは、箱が白いですよね。実はこのソフト、もともと箱はピンクでした。それが褪色していき、白くなってしまったんですね。高いほうを見ると、多少色あせてはいるものの、ピンクだとわかります。そう、ピンク色って褪色しやすいんですよ。キレイにピンク色が残っているような、箱の状態がよいものには、あまりお目にかかれません。
加えて『リトルマーメイド』の場合は、おそらくあまり売れていないことも影響しているんじゃないでしょうか。
そもそも『リトルマーメイド』は、人魚姫をテーマにしたディズニーのアニメ作品。当時はまだまだ、テレビゲームを遊ぶのは男子のほうが多かったはずで、男の子は『リトルマーメイド』の世界観にあまり興味がなかったんじゃないかなと。だから販売本数自体も少ないし、ショーケースで売れ残っているうちに褪色も進んだんじゃないか……なんて想像してしまいます。
■スーファミソフトのなかで最も高い!? ピンクの箱の超レアソフト
ピンクの箱と言えば、マニアの間でたいへん有名なソフトがあります。パック・イン・ビデオから1995年に発売されたスーパーファミコン用『マジカルポップン』です。当店にもあるのですが、箱は「かろうじてピンク」という状態。箱の背の部分には、鮮やかなピンク色が残っているんですけどね……。
ちなみに販売価格は59万4000円(税込)です。さすがになかなか売れません(笑)。この価格は、スーパーファミコンソフトのなかでも最高クラスになりますね。このソフトも、ただでさえ褪せやすい色なのに、売れないうちに褪色が進んでいくケースと言えそうです。
この『マジカルポップン』には偽物が存在するんですよ。だから、箱があまりにキレイな色だと怪しんでしまうと思います。もともと『マジカルポップン』は、箱の色がどうこうという以前に、レアなソフトとしてプレミア価格で扱われている作品なんです。
当時、パック・イン・ソフトから出るゲームは、言葉を選んで言うと(笑)、あまり評判が良くなかった。そんなこともあって、このソフトもあまり世に出回っていないのではないでしょうか。
また、1995年にはすでにプレイステーションが発売された後。その頃のスーパーファミコンソフトは、任天堂に製造を委託する際の最低本数が引き下げられたという話も聞くので、それも関係しているかもしれません。
私は『マジカルポップン』を遊んだことはありませんが、パッケージの裏を見ると、アクションゲームと書いてあります。ポップンという女の子が魔法を使って魔導士と戦い、秘宝を取り戻すという内容のようです。
……キャラクターイラストを手掛けたのは赤井孝美さん、ポップンの声は飯島愛さんが担当しているそうですよ! 今まで箱の裏側をじっくり見たことがなかったので、初めて知りました。


