■生きたまま溶かされ…ファミコン最恐のホラーシーン

 最後に紹介するのは、ファミコンでも屈指のホラーゲーム『スウィートホーム』(カプコン)です。黒沢清監督による同名映画をゲーム化したもので、アドベンチャーとRPGが融合した独特のシステムと、ファミコンでは類を見ない恐怖演出が話題になりました。

 ゾンビやガイコツ、下半身を引きちぎられた男など、グロテスクな敵が多数登場。さらに、軋んだ音を上げて開く扉のアニメーションなど、随所にプレイヤーの恐怖心を煽る演出が散りばめられています。

 その『スウィートホーム』の中でもっとも恐ろしかったのが、作品の舞台となる間宮家に詳しい協力者である山村健一の死亡シーンです。

 物語の終盤、怨霊となった間宮夫人を山村が説得しようとします。しかし夫人の怒りに触れてしまい、山村は生きながら体を溶かされて白骨化。その様子はアニメーションで描かれ、徐々に体が溶け、目玉が零れ落ち、全身の肉がボロボロと落ちて白骨化する様をプレイヤーは見せつけられるのです。

 物悲しいBGMが流れる中、凄惨な最期を遂げた山村の姿は、ファミコンでも最高峰の映像で表現された恐怖シーンとして、今も胸に刻まれています。


 ファミコン時代のグラフィックは、今のゲームと比べると、とてもシンプルでチープに見えるはずです。それなのに今回紹介したゲームの恐怖シーンは、どれも鮮明に思い出せるほど忘れられない記憶として残っています。

 現在のゲームのような映像のリアルさはありませんでしたが、当時の子どもに恐怖を感じさせる演出は見事でした。皆さんが、一瞬でも恐怖を覚えたファミコンゲームといえば、どのようなタイトルを思い出すでしょうか。

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