
子どもの頃に遭遇した恐怖体験は、大人になっても結構引きずるものです。幼少期に見たホラー映画やテレビの恐怖番組、心霊本などは王道ですが、ファミコンのゲームにトラウマものの恐怖を植えつけられた人も少なからずいることでしょう。
世代ではない人からすると、ファミコンのチープな映像がそんなに怖いはずはないだろう……と思うかもしれませんが、粗いドット絵でも巧みな演出によって想像以上の恐怖を感じたものです。
そこで今回は我々、昭和生まれのファミコンキッズたちに容赦ない恐怖の記憶を刻んだ、恐ろしいタイトルを振り返ってみたいと思います。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■暗闇からヌッと出てくるクリーチャーにゾクッ!
最初に紹介したいのは、いきなり冒頭から怖かったアクションシューティング『エイリアンシンドローム』(サンソフト)です。同作はセガのアーケードゲームからの移植作で、アーケード版は生々しく不気味な動きをするエイリアンの気持ち悪さに定評がありました。
そしてファミコン版のグラフィックは全体の陰影が増し、フィールドの暗い雰囲気はアーケード版以上に見えます。
そんな本作で一番ドキッとさせられたのはオープニングの映像です。これはアーケード版にはない、ファミコン版のオリジナルシーンでした。
主人公のリッキーとマリーが銃を構える先に巨大な扉が存在します。その扉が開くと二人は一斉に発砲。しかしその攻撃をものともせず、扉の奥の暗闇から画面の半分ほどを占める巨大なエイリアンがヌッと現れるのです。
扉をこじ開ける大きな爪が左右にあり、鋭い牙のある大きな口からは唾液のようなものが滴っているように見えます。ファミコンの映像ながら、このあたりのグロテスクな描写はかなり強烈で、初見時は思わず「ヒッ」と息を飲まずにはいられませんでした。
■有名人の身に何が…!? いきなり訪れるショッキングシーン!
続いても、タイトル画面の直後に流れるオープニング映像からあまりにも衝撃的だった『さんまの名探偵』(ナムコ)です。
本作は探偵である明石家さんまの助手となり、事件を解決していく推理アドベンチャーゲーム。吉本興業の人気者たちが勢ぞろいする、いわゆる“キャラゲー”ながら、本格的な推理が楽しめる内容でした。
そのさんまと一緒に捜査することになるのが、落語家の桂文珍が殺されるという凄惨な事件です。オープニングデモで文珍師匠が何者かに殺害される場面の映像が流れますが、これが忘れられないトラウマシーンでした。
殺人シーンの描き方が凝っていてかなりリアル。「なにをする、やめろ!」という文珍師匠。その直後、「ギャー」という悲鳴とともに現れる文珍師匠のドアップは目を見開いて汗が滴り、緊迫した状況が伝わってきます。
さらにその直後、不気味なBGMとともに血が流れるような演出から現れる映像には、床に横たわった文珍師匠の亡骸がありました……。
死の間際の文珍師匠の表情と、シンプルながら不安感を増幅させるBGMのコンビネーションは秀逸で、『さんまの名探偵』のトラウマシーンといえばこの場面を思い出す人も多いのではないでしょうか。