■拡張音源使用の国内版と不使用の海外版とでサウンドに違いが

 さて、『悪魔城伝説』は、ゲーム性もさることながら、クオリティの高いサウンドも評判でした。前回、『悪魔城ドラキュラ』はディスクシステムの拡張音源を使っていないという話をしましたが、『ドラキュラII』では使っています。そして、カセットの『悪魔城伝説』は、コナミ独自の音源チップを搭載しています。

 『悪魔城伝説』は海外でも人気だったのですが、NES(ニンテンドー・エンターテインメント・システム)版のカセットには、この音源チップが搭載されていないんです。詳しくはわかりませんが、NESにはコピー品など承認されていないカセットを認識するシステムがあり、独自の音源チップなどが搭載されたものは非正規品と誤認されてしまう……みたいな話を聞いたことがあります。

 そこでNES版は、曲のアレンジによってリッチなサウンド作りを工夫しているようなんですね。たとえば、音をズラすことで幅を表現するなど、拡張音源を使えないぶん、テクニックでカッコよく仕上げている。

 若い頃、海外旅行へ行ったときに、日本で売っていないゲームが欲しくてNESのソフトを買い込みました。すると、『悪魔城伝説』に限らず、サウンド面に工夫を凝らしている「曲がとてつもなくカッコいいゲーム」があったんですよ。音源チップを導入した日本とはまた別の方法で、ゲームのサウンドが進化したというのがとても面白いですよね。


※ソフトの値段や状態などは取材時のものです。

【プロフィール】
大竹剛(おおたけ・つよし)
「レトロゲーム」に造詣が深い“元ドット絵職人”。ゲームメーカー「テクノスジャパン」で、主に『くにおくん』シリーズにドッターとして参加。現在は「ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店」で店長を務める。本人もレトロなゲームのコレクター。

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