ファミコン名作『悪魔城伝説』が「安売り品」から「プレミアソフト」へと変貌した理由【ハードオフ大竹店長の「レトロゲームちょっといい話」】の画像
ファミコン用ソフト『悪魔城伝説』(コナミ) 写真/ふたまん+編集部

 数万円から数十万円の値段がつくこともある「レトロゲーム」の世界。そんなソフトがズラリと揃う『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』の店長にして、自身も大のゲームコレクターである大竹剛氏が、毎回1本のソフトを語るこの連載。今回、ショーケースに並ぶソフトの中から取り上げるのは——?

■発売当時1980円で安売りされていたソフトが3万円超え!

『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』大竹剛店長(写真/ふたまん+編集部)

ハードオフ大竹店長の「レトロゲームちょっといい話」第15回

 

 『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』の店長、大竹剛です。前回のコナミ『悪魔城ドラキュラ』(1986年)に続き、今回はシリーズ3作目となる『悪魔城伝説』(1989年)をご紹介しましょう。2作目の『ドラキュラII 呪いの封印』(1987年)まではファミリーコンピュータ ディスクシステム用ソフトでしたが、3作目はファミコン用カセットとして発売されました。

 いずれの作品も、ムチの使い手であるヴァンパイアハンターが、ドラキュラ退治に向かう内容です。大ヒットした1作目は横スクロールでステージクリア型のアクションゲームでしたが、2作目はアクションRPGのような作りで、ちょっと雰囲気が違ったんですよ。それにとまどったファンの要望に応えたのか、3作目は1作目に似た感じに戻りました。そのせいか、発売前から期待が高かったと思います。

 当店では現在、箱や取扱説明書の揃った完品を3万800円(税込)で販売していますが、実は発売当時は安売りされていました。前評判がよくていっぱい作りすぎたんでしょうか、それこそ1980円とかで買った記憶があります。

 この『悪魔城伝説』に関しては、市場に出回っている本数が少ないから価値が上がっている、というわけではありません。普通に面白さが評価されて、今遊びたい人がたくさんいるということでしょうか。

■大ヒットした1作目に近い雰囲気のシリーズ3作目

 私は1作目がすごくよかったので、2作目も3作目もプレイしました。人気がないとされる2作目も、クリアこそできませんでしたが、かなりの時間を費やしましたよ。話が脱線しますが、海外のクリエイターが『ドラキュラII』をオマージュして制作した『infernax』ってインディゲームを見つけて、それまで楽しんでいます(笑)。

 3作目は超やり込みました。3作目ならではの要素として、主人公が道中でキャラクターと出会い、パートナーにすることができるんですね。パートナー候補は3人いるんですが、それぞれ能力が違い、コンビを組んだキャラによって攻略法やルート、展開が違ってくる。それが「スゴイな」と思いました。

 個人的に気に入ったのが、パートナーを選ぶ仕組み。たとえば、『ドラゴンクエストV』(エニックス/1992年)の花嫁のように、分岐点で選択を迫られる方式だと、私は悩んでしまってどちらも選べないんですね(笑)。

 でも『悪魔城伝説』の場合は、主人公の進行ルートによって出会うか出会わないか、誰と出会うかが変わってくる。ただ、すでにコンビの状態で他のキャラと出会ったときには、どちらを連れていくか、選ぶことになるんですけどね。誰とも組まずにプレイすることも可能で、いろいろな展開を楽しみました。

  1. 1
  2. 2
  3. 3