■ジャルダックに反旗を翻した次男ニエルブ
最後に振り返るのは、次男ニエルブ・ストマック(滝澤諒さん)。
切れ長の目に丸眼鏡、柔和で飄々とした雰囲気のニエルブは、ストマック社の技術開発を担う技術者。ジャルダック家にストマック社を奪われた後も、徴用され、したたかに生き残っていたのは彼だったように思う。
しかし、やがて彼は反旗を翻す。弟ショウマと手を組み、ジャルダック家の排除を企てたのだ。しかし、あえなくクーデターは失敗に終わり、一転してニエルブは窮地に追い込まれてしまう。
そして第47話「幸せのディストピア」では、生き残るためにショウマと戦うことになる……のだが、それすら演技に過ぎなかった。ニエルブは密かに爆弾を仕込み、大統領ボッカ・ジャルダックの野望「人間界牧場化計画」を一挙に吹き飛ばそうとしていたのである。
「僕の勝ちだ」そう言ってスイッチを押した瞬間、爆発したのは爆弾ではなく、彼の手に握られていたスイッチそのもの。すべてはボッカに見抜かれていたのだ。次の瞬間、ニエルブの身体は爆炎に飲み込まれ、跡形もなく消え去った。物語を掻き回したマッドサイエンティストにしては、あまりにあっけない最期だった。
「力こそ全て」のグラニュート世界で、強靭な兄姉に劣等感を抱き続けたニエルブ。最終的には失敗に終わったが、彼なりのやり方でストマック社を再興せようとしていたのだった。
今回振り返ったのは、シータ、グロッタ、ニエルブだが、最終回まで決着を持ち越したジープや、長男ランゴの二人も、ラストがどう描かれるのか非常に気になる存在だった。
ストマック家は決して“ただの敵役”ではなかった。グラニュートと人間の間に生まれた異母弟ショウマとの複雑な関係性を背負いながら、それぞれが「孤独」「劣等感」「誇り」といった感情を抱き、戦いの果てに散っていったのだ。
その姿はまさに、もうひとつの主人公たちの物語。『仮面ライダーガヴ』を語る上で、ストマック家は欠かすことのできない存在だった。


