■残されたセーブデータで他人の作品をのぞき見!?
比較的安価なので、前の持ち主がどんな絵を描いていたのか、セーブデータを見るという楽しみ方もあります。知り合いのYouTuberが、『マリオペイント』をいっぱい買って、ひとつひとつ中身を見るという配信をやっていたのですが、思わぬ超大作が入っていたりして面白かったです。
中には、初めて彼氏ができた女の子が「初カレばんざい」みたいな落書きをしているデータもあって、「今、この子どうしてるのかなぁ」と想像がふくらみました(笑)。今、販売中の『マリオペイント』にも、そういったデータが残っているかもしれません。電池切れで消えている可能性もありますけど……。
以前、私が同じような楽しみ方をしていたのが、『デザエモン』シリーズ(アテナ)というコンストラクション系ソフトです。シューティングゲームの制作ツールとして、自機や敵キャラを描いたり、BGMを作曲したりできるんですね。1作目はファミコン用『絵描衛門(デザエモン)』として1991年に発売。その後、続編がスーパーファミコンやプレイステーション、セガサターンなどで展開されました。
当時、私はテクノスジャパンで『くにおくん』シリーズなどのドット絵を描く仕事をしていたので、興味を持って買ってみたんです。でも、当たり前なんですが、会社で使っていたプロ用のツールに比べると、かなり使いづらい。そこでズルをして、会社のツールで描いたドット絵をプリントアウトして、それを見ながら『絵描衛門』で入力する……なんてことをやってました(笑)。スーパーファミコン用の『デザエモン』ではマウス対応になりましたが、それでもやっぱり描きづらかったですね。
……と、自分で作るのも面白かったんですが、人が作ったものはどんなものなんだろう、見てみたいなと思って、その後セーブデータ目当てで中古のカセットを買ったりもしました。ちなみに、CD−ROMのプレイステーション版などでは、前の持ち主のセーブデータは見ることができませんので、ご注意ください。
■プロのドット絵師が『マリオペイント』で絵を描くと……!?
もちろん、『マリオペイント』もマウスが付いていることに衝撃を受けて、すぐに買いました。絵や音楽、アニメーションの自作ツールの他に、マウス操作に慣れるための(?)ハエたたきゲームが入っていて、めっちゃやりましたね。超面白かった!
ハエたたきをゲームにするのがシュールですよね。タイトル画面も遊び心がいっぱいだったり、起動するときに「ウホッホヤッホホ」の掛け声とともに体操のアニメーションが挿入されたりと、センスが独特。当時、『ウゴウゴルーガ』という、CGを使った子ども向け番組がシュールだと話題になってたんですけど、それに通じるものを感じていました。
もちろん自分で絵も描きました。でも、ドット絵の『デザエモン』と違って、フリーハンドで絵を描くんです。ドッターの私には向いてないなって思いましたね(笑)。
※ソフトの値段や状態などは取材時のものです。
【プロフィール】
大竹剛(おおたけ・つよし)
「レトロゲーム」に造詣が深い“元ドット絵職人”。ゲームメーカー「テクノスジャパン」で、主に『くにおくん』シリーズにドッターとして参加。現在は「ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店」で店長を務める。本人もレトロなゲームのコレクター。


