
数万円から数十万円の値段がつくこともある「レトロゲーム」の世界。そんなソフトがズラリと揃う『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』の店長にして、自身も大のゲームコレクターである大竹剛氏が、毎回1本のソフトを語るこの連載。今回、ショーケースに並ぶソフトの中から取り上げるのは——?
■中古ソフトを扱って27年目で、はじめて目にした“非売品”カセット

ハードオフ大竹店長の「レトロゲームちょっといい話」第11回
『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』の店長、大竹剛です。今回ご紹介するのは、ファミリーコンピュータ用ソフト『ファミリースクール』。みなさん、こんなソフトがあるのをご存知でしたか? ナムコットのファミリーシリーズではありませんよ(笑)。
ブランド名を見ると「第一生命」と書かれていて、どうやら保険会社さんが勧誘に使っていた非売品ソフトと思われます。ちなみに、パッケージには『けいさんゲーム』などでもおなじみ「東京書籍」の名前もあり、ゲーム制作を請け負っていたことがうかがえます。
当店では、箱と取扱説明書付きで4万9500円(税込)で販売しています。私がこの業界に入って27年になりますが、つい最近まで見たことがなかったくらい、たいへん珍しいタイトルです。ところが、ゲームコレクターにしてみると、非売品ソフトの中では入手しやすい部類に入るんだとか。それなりの数が配布されていたのかもしれません。
現在、当店で販売中のものには、取説が1冊しか付属していませんが、コレクターの知人によると、本当は2冊入っているとのこと。大人と子どもが一緒に遊ぶことを想定して作られているようなので、それぞれに1冊ずつ……ということなんでしょうか。
さらに、2冊の取説とは別に、「保険の営業マニュアル」というものも存在するんですよ! その知人が持っているんですけど、まずはゲームを遊んでもらって、このタイミングでチラシを見せてこう切り出す……みたいなことが、保険のセールスをする方向けに解説されているみたいなんですよね。う〜ん、一度見てみたいものです(笑)。
■生保レディが隠しコマンドを入れるとシークレットモードに突入!?
さて、『ファミリースクール』というタイトルだけでは、実際どんなゲームなのか、想像できませんよね。私もまったく予備知識がありませんでしたが、検品の時にちょっと遊んでみました。
取説やパッケージにも説明があるんですけど、クイズとパズルをミックスした「ダイちゃんのくだものばたけ」というゲームが遊べます。4択クイズが出題されて、正解だと思う選択肢のカゴに果物を運ぶとか、そんな感じの内容だったと思います。種から果物を育てたり、モグラやヘビの妨害を避けたりと、アクション的な要素もありましたが、たいした内容ではなかったですね(笑)。
さらに、パッケージには「このゲームの他、カセットの後半には、“ダイちゃんの生活設計”が入っています。詳しくは担当のセールスマンにおたずね下さい」と書いてあります。これは生命保険プランのシミュレーションか何かで、営業用のツールなんでしょうか、通常の方法ではプレイすることができないみたいなんですよ。前述の営業マニュアルには、このモードを出現させる「隠しコマンド」が書いてあるそうです(笑)。