■損保に自動車販売店、住宅会社……まだまだある非売品の世界
こうした非売品ソフトは、他にもいくつか存在します。私が個人的に所有しているのは『セイフティーラリー』という、「安田火災」のファミコン用ソフト。クルマで法規を守りながらゴールを目指すとか、そんな内容でしたね。自動車保険を扱う会社なので、クルマのゲームなんでしょう。
リサイクルショップで見つけて、「何コレ見たことない、超珍しい!」と思って買いました。私はカセットだけしか持っていないんですが、本来は専用のプラスチックケースとマップが付属するようです。どのような形で配布されていたのかはわかりませんけれど、交通安全イベントで使われていたとも聞きますね。配布数が少なかったのか、『ファミリースクール』よりも入手しにくいという話です。当店に入荷したこともありません。
よく見かける非売品ソフトとしては、プレイステーション用の『ネッツレーシング』や、セガサターン用の『ハイムワルツ』が挙げられます。『ネッツレーシング』はトヨタのネッツ店で配布していたレーシングゲームで、当時、店で販売していた車種で走ることができるみたいです。『ハイムワルツ』はセキスイハイムが配布していたソフトで、モデルハウスを見て回るような体験ができるようですね。
ちなみに、どちらもCD−ROMです。CD−ROMは安価でたくさん作れますから、配布数自体が多くなったために、よく見かけるのかもしれません。ただ、『ネッツレーシング』の販売価格が数百円程度なのに、『ハイムワルツ』のほうは4万5000~5万円くらいと、大きな差があるのが不思議なところですね。
※ソフトの値段や状態などは取材当時のものです。
【プロフィール】
大竹剛(おおたけ・つよし)
「レトロゲーム」に造詣が深い“元ドット絵職人”。ゲームメーカー「テクノスジャパン」で、主に『くにおくん』シリーズにドッターとして参加。現在は「ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店」で店長を務める。本人もレトロなゲームのコレクター。