
今年で発売から29周年を迎えた『ポケットモンスター 赤・緑(以下、赤緑)』(任天堂)は、のちのシリーズの礎となった、不朽の名作ゲームだ。
同時に、『赤緑』はちょっとした操作でバグが発生することでも親しまれ、当時遊んだ子どもたちは「いかにポケモンをバグらせるか」にも大いに熱中した。かくいう筆者も、すべてのポケモンをバグでレベル100にした経験がある。
だが、『ポケモン』でバグ技が有名なのは『赤緑』だけではない。後年の『ポケットモンスター 金・銀(以下、金銀)』や『ポケットモンスター ルビー・サファイア(以下、ルビサファ)』もまた、バグ技が多く発見された名作である。
そこで今回は、『金銀』『ルビサファ』らレトロ『ポケモン』シリーズから、愛すべき「有名バグ技」を振り返っていこう。
※バグ技はデータ破損などの重大なトラブルを引き起こす恐れがあります。本記事は「バグ技」を推奨するものではなく、当時の子どもが夢中になった「遊び」を振り返るものです
■もはや伝統だったのか…? ポケモンや道具を増やせる「増殖バグ」
『赤緑』の有名なバグ技のひとつに、道具を好き放題増やせるというものがある。やり方によってはアイテムをなんと一度に227個増やすことも可能な、ある意味恐ろしい技だった。これは通称「増殖バグ」と呼ばれ、どういうわけか以降の『ポケモン』でもよく発見されている定番だ。
たとえば『ルビサファ』では、自分と相手の持ち物を入れ替える「トリック」という技を利用した「道具増殖バグ」が存在した。「わざマシン」や「マスターボール」など貴重なアイテムでも増やせるので、対人戦を本気で遊ぶ上級者ほど活用していた印象がある。
『金銀』のボックスを使う増殖バグに至っては、道具だけでなくポケモンも増殖できた。ボックスに増やしたいポケモンを預け、レポートが書かれる瞬間に電源を切ると、そのポケモンが2匹に増えているのだ(当然ながら、本来であればレポートの際に電源を切ってはいけない)。
比較的有名なこのバグ技は、「ボックスバグ」あるいは「コピー技」とも呼ばれ、百発百中でできる子はクラスで一目置かれる人気者だった。
その後発売される『ポケットモンスター ダイヤモンド・パール』や『ポケットモンスター ソード・シールド』でも「増殖バグ」の存在が確認されている。意図的なものでは絶対にないはずなのに、なぜか伝統のように受け継がれているのが興味深い。
■8192分の1を凌駕!『金銀』の色違い作り
通常のポケモンとカラーリングが異なる「色違い」は、煌びやかさとレア度の高さから、多くのトレーナーの憧れである。
とくに『金銀』で初登場した当時は、野生で出会う確率が8192分の1だったといわれている。パーセンテージにすると“0.00012207031%”……もはや実感すらわかないが、確率が低いことだけは理解できるだろう。
『金銀』では、そんな色違いを自分で作れるバグ技、通称「虫取りバグ」が存在する。
手順がかなり複雑なので説明は省くが、成功すると好きなポケモンを色違いに改変できた。
メインストーリーでゲットできる色違いの「赤いギャラドス」と、コガネシティ近郊で開催される「むしとりたいかい」への参加権さえあれば実行できるうえ、再現性も極めて高い。要は、誰でもお手軽に色違いをゲットできたのだ。これでは8192分の1も形なしである。
しかもこの「虫取りバグ」は応用しやすく、ポケモンに本来覚えられない技を覚えさせたり、レベル上げを高速でできたりと、色違い作り以外にもさまざまな用途があった。バグ技の数自体は少ないが、そのひとつひとつが『赤緑』に匹敵するほど強烈なのが、『金銀』の特徴といえよう。