■操作性とBGMが快適すぎる!『ルビサファ』陸なみのり
続いては『ルビサファ』から、ちょっと陽気でとても便利なバグ技を紹介しよう。通称「陸なみのり」と呼ばれるもので、文字通り陸上で「なみのり」ができる技だ。
「なみのり」は本来、該当のひでんわざを覚えているポケモンに乗って水上を行き来できるというものであった。だが『ルビサファ』では「ダートじてんしゃ」に乗りながら特定の動作を行うと、なぜか陸上で「なみのり」ができてしまう。たったそれだけのバグ技なのだが、その利便性がとにかくすごかった。
まず、移動が快適になる。「なみのり」は歩くより速く移動でき、自転車よりも操縦がしやすい。深い草むらなど自転車では通れないスポットも進めるので、乗り降りの手間がない。広くてギミックが多いホウエン地方をスムーズに動き回れる、この「陸なみのり」は、爆発的な人気を誇ったバグ技だった。
筆者も「陸なみのり」を愛用していたが、とくに気に入っていたのはBGMだ。「テレテレテレテ~テレ」という心地良い音楽から始まる「なみのり」のテーマ曲を聞きながら冒険するのが好きだった。『ルビサファ』の「なみのり」のテーマ曲は歴代でも評価が高いが、「陸なみのり」がその理由のひとつかもしれない。
■発売から10年越しに発見された!?『ルビサファ』対戦相手のポケモンを捕まえられるタワーバグ
『ルビサファ』で殿堂入り後に挑戦できる「バトルタワー」は、本作の名物のひとつだ。NPCトレーナーとひたすら戦い続けるやりこみプレイ用の施設で、対人戦よりバトルタワーにハマるプレイヤーも多かった。
そのバトルタワーにまつわるバグのひとつに、発売から10年以上後に発見された裏技があることをご存知だろうか。
それが通称「タワーバグ」と呼ばれるバグ技で、成功するとバトルタワーでNPCが使うポケモンを捕獲できる。各地の草むらを徘徊するラティアスかラティオスが必要で、手順が非常にややこしいのはネックだが、あの有名な「ひとの ものを とったら どろぼう!」というシリーズの鉄則を無視できるのは、なんともユニークである。
バトルタワーは連勝数に比例して相手のポケモンが強くなる仕組みなので、実用性を重視するなら、50連勝以上してから「タワーバグ」を使うのが良いとされている。
『ルビサファ』のバトルタワーにはほかにも、使ってしまえばバトルタワーに二度と挑戦できなくなる「出禁バグ」や、敗北をなかったことにできる「コンティニューバグ」など、面白いバグ技がいくつか存在する。ちなみに連勝記録がかかったバトルで相手が急所を連発する現象はバグではなく確率のイタズラなので、あしからず。
『ポケモン』のバグ技を紹介してきたが、もちろん本作は、ポケモンとの冒険やバトルが最大の魅力であるのは言うまでもない。それがあってこその「バグ技」であり、面白いバグが多いだけのゲームなら、『ポケモン』はここまで偉大な作品にならなかったはずだ。ただ、バグ技の存在が、本作の奥深さやミステリアスさを増加させる、スパイスのような役割を果たした面はあるのではないだろうか。