■手持ち5匹以下は盲点すぎた『ルビー・サファイア』ヌケニン

 次は『ポケットモンスター ルビー・サファイア』から、“ぬけがらポケモン”の「ヌケニン」を紹介しよう。いくら育ててもHPが“1”しかない、弱点以外の攻撃をいっさい受け付けない特性「ふしぎなまもり」を持っているなど唯一無二の個性が光るヌケニンは、進化条件も一筋縄ではいかない。

 まず、進化前のツチニンをレベル20に上げる。すると、“しのびポケモン”のテッカニンに進化するのだが、この時に手持ちポケモンを5匹以下にしておくと、空いた枠にヌケニンが出現するのだ。ツチニンやテッカニンは昆虫のセミがモチーフのポケモンといわれているが、ヌケニンはいわば羽化した後の抜け殻なのだろう。もちろん、こんな進化方法は1000匹を超えるポケモンのなかでもヌケニンだけだ。

 問題は「手持ちを5匹以下にする」ところだ。常にポケモンを6匹連れているトレーナーは、ヌケニンを手に入れるチャンスにも気づけない。ここまで手の込んだギミックを見せられると、ゲットできない悔しさを超えて「よく思いついたな……」と賞賛したいぐらいだ。

 

 インターネットが発達した現代なら、ポケモンの進化条件は調べればすぐにわかる。令和の子どもたちが見当違いなレベル上げをすることはまずないだろう。攻略本やゲーム雑誌を逐一チェックしないとレアな進化方法がわからなかった、平成時代の子どもである筆者からすると、正直うらやましい。

 だが、珍しすぎる進化をするポケモンに振り回された日々も、なんだかんだ楽しかった。そういった苦労もすべてひっくるめて、あの頃の『ポケモン』なのだ。

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