偽造品まで流通…ファミコン名作『影の伝説』が「約20万円」の値段がつけられている理由【ハードオフ大竹店長の「レトロゲームちょっといい話」】の画像
ファミコン『影の伝説』(タイトー) (C)TAITO CORP. 1986

 数万円から数十万円の値段がつくこともある「レトロゲーム」の世界。そんなソフトがズラリと揃う『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』の店長にして、自身も大のゲームコレクターである大竹剛氏が、毎回1本のソフトを語るこの連載。今回、ショーケースに並ぶソフトの中から取り上げるのは――?

■めんつゆのキャンペーンの景品!非売品の『影の伝説』

『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』大竹剛店長(写真、ふたまん+)

ハードオフ大竹店長の「レトロゲームちょっといい話」第6回

 

 『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』の店長、大竹剛です。今回ご紹介するのは、ファミリーコンピュータ用ソフト『影の伝説』(タイトー)。もともとはアーケードゲームで、1986年に移植されました。

 現在、当店には198000円(税込)の値札が付いている物があります。理由は、箱を見れば一目瞭然。市販品とは違う、ヤマキめんつゆのキャンペーンでプレゼントされた非売品……『ヤマキめんつゆサマープレゼント』バージョンなんです。10000名に当たる企画だったそうで、数が少ないためプレミア価格となっています。買い取りに持ち込まれることもめったにない、超レアなソフトです。

■カセットのシールを剥がすと、もう見分けがつかない!?

 市販バージョンと外箱が異なるため、箱に入っていればわかりやすいです。でも、問題はカセットのみの場合。カセットには「ヤマキめんつゆサマープレゼント」という小さなシールが貼ってあるんですが、これに買取店側が気付かないこともあるんですよ。さらに困ったことに、これを剥がしちゃうともう、普通のソフトになっちゃう(笑)。以前、『ドラゴンボール 神龍の謎』の回でもお話しましたが、こういうシールを剥がしちゃう方っているんですよね。

 たとえば、ファミコン用『グラディウス』(コナミ/1986年)にも、大塚食品のカップ麺『アルキメンデス』のキャンペーンバージョンが存在します。こちらは、ゲーム中でパワーアップカプセルがアルキメンデスの絵に変更されているので、仮にシールが剥がされていても、プレイすれば非売品だとすぐわかります。ところが、ヤマキバージョンの『影の伝説』の場合、シールや外箱以外は通常版とまったく同じ内容なので、判断のしようがありません。

 『ドラゴンボール 神龍の謎』の復刻版シールと同様、『影の伝説』にも偽造したシールを貼った偽物があるとは聞いています。でも、ヤマキバージョンは、明らかに箱が違うので、見分けるのは難しくないでしょう。箱自体が偽造される可能性もありますが、実は箱って本物に似せるのが意外と難しいんです。紙質も印刷方法も関係するので、たとえば上質な紙を使ってしまって、本物以上に光沢が出てしまったりする。取扱説明書も同様ですね。

 話はズレますが、紙でできているものより、むしろカセットのほうが簡単に偽造できてしまうようですから、不思議な時代です。やはり高値で取引されているファミコン用ソフト『サマーカーニバル‘92烈火』(ナグザット)の出回っている偽物は、カセットだけでなく紙も本気で作られていて、同封されているハガキまで偽造されているそうですよ。

  1. 1
  2. 2
  3. 3