■妙にリアルで怖すぎる…「サブリミナル」

 ゾクゾクするオチといえば、1992年の『世にも奇妙な物語 冬の特別編』で放送された「サブリミナル」も外せない。人口増加と高齢化が問題視される1997年を舞台にした物語だ。

 新政府が“ハッピー65”という高齢者向けの政策を打ち出す一方、ちまたでは高齢者の自殺が相次いでいる。テレビからは連日連夜このニュースとともに、やたらと陽気な「パラダイス・ガム」のCMが流れていた。

 新聞記者の西村弘明(東幹久さん)は、先輩の神野(森本レオさん)と高齢者自殺を追うことになった。そしてある時、2人の元にサブリミナルを研究する岡村教授から「原因がわかった」と連絡が入る。しかし、大学を訪れてみると岡村教授は失踪してしまったという。

 その後、西村らはサブリミナルについて調べるうち、異常なほど流れるパラダイス・ガムのCMに目を付ける。そして、CMをコマ送りにすると「バイバイ65 65才以上の者は自ら死を選べ」という恐ろしいメッセージが浮き上がるのだった。

 これが世に出れば超特大のスクープだが、局長は認めてくれず、それどころか神野が暴走車に轢かれるというきな臭い事故が起こる。一連の出来事でガムを噛んでいる人間がグルだと確信した西村は、生中継のテレビに乱入し全国に政府の陰謀を暴露しようとする。

 だが次の瞬間、西村は大量の人々に襲われてしまう。ゾンビの如く群がる人々の背後には、延々と流れるパラダイス・ガムのCM。そこには、西村の写真とともに「この男を抹殺せよ」というサブリミナルが仕込まれていた……。

 サブリミナルは現在では使用禁止になっているが、高齢化・政府の陰謀という生々しい題材を扱っていることもあり、現実でも起こり得るかもというリアルな恐ろしさがある。ラストシーンで流れた、スローモーションの「パラダイス・ガムCM」に背筋が凍ったのは筆者だけではないだろう。

 

 『世にも奇妙な物語』ならば普通に終わるわけがないとわかっていても、今回紹介した3作のような物語はあまりにショッキングなオチに驚いてしまう。ホラーじゃないのに怖いというのも、『世にも』の醍醐味の1つなのだ。

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