
人気漫画の実写化作品というと、やはり原作の再現度が大きな見どころだろう。そんな実写化作品のキモとなるのが、各キャラクターを演じる俳優たちだ。ビジュアルを原作キャラに寄せたり、激しいバトルを再現するためにトレーニングを積んだりと、しっかり役作りをおこなう俳優たちには毎回脱帽してしまう。
なかでも、美しい女優たちが自らのイメージを裏切るような体当たりの演技をする様子には驚愕だ。鼻をほじる、白目をむく、大声でツッコむ……など、原作の勢いやキャラクターの魅力を忠実に再現する姿は、観客に新たな感動を与えてくれる。
そこで今回は、ギャップ全開のコミカル演技で話題をさらった女優たちの名シーンを振り返ってみたい。
※本記事には各作品の内容を含みます
■福田作品で見せた振り切った演技『銀魂』『斉木楠雄のΨ難』橋本環奈
“1000年に1人の逸材”と称され、透明感あふれる美貌で知られる橋本環奈さん。まさに正統派美少女である彼女だが、実写化作品ではそのイメージを鮮やかに覆す演技の数々を披露している。
代表作のひとつが、空知英秋さんの人気コミックを実写化した映画『銀魂』シリーズだ。
奇才と名高い福田雄一監督がメガホンをとった本作において、橋本さんは怪力で暴食、粗暴な性格ながらもどこか憎めないヒロイン・神楽を熱演。原作でおなじみの破天荒な神楽の言動を完全再現している。
なかでも、白目をむいて鼻をほじるシーンはインパクトが大きかった。もともとのイメージとのあまりのギャップに、思わず笑ってしまった観客も多いだろう。
さらに麻生周一さん原作の『斉木楠雄のΨ難』でも、福田監督とのタッグが実現。橋本さんが演じたのは、自分の美貌に絶対の自信を持つ“天下無敵の美少女”照橋心美だ。
山﨑賢人さん演じる斉木にぶりっ子全開でアピールを繰り返し、終盤には体育館の準備室で目薬をさし誘惑するという“計算ずく”の演技も披露した。
橋本さん自身ものちのインタビューで「自分が出演した映画を観ないでくださいと言ったのは初めてです」と語っており、それだけ振り切った役作りに挑んだことがうかがえる。美少女の殻を突き破る演技は、彼女の表現力の豊かさを強く印象づけた。
そんな橋本さんは現在、知念実希人さん原作のドラマ『天久鷹央の推理カルテ』(テレビ朝日系)にて、主人公のひとクセある天才ドクター・天久鷹央を演じている。本格的な医療ミステリーである本作だが、橋本さんのコミカルな演技が光っており、放送のたびに「原作の鷹央そっくり!」と呼び声も高い。ぜひ、チェックしてみていただきたい。
■原作ファンも唸った変顔再現『ゴールデンカムイ』山田杏奈
2024年公開の映画『ゴールデンカムイ』では、山田杏奈さんが披露した変顔が大きな話題となった。
原作は野田サトルさんの同名の人気漫画で、明治末期の北海道・樺太を舞台に莫大な埋蔵金をめぐる冒険と民族文化が交錯するサバイバル活劇だ。山田さんが演じたのは、山﨑賢人さん演じる主人公・杉元佐一と行動をともにする、聡明で天真爛漫なアイヌの少女・アシㇼパだ。
スリリングな展開も多い本作において、杉元とアシㇼパによるコミカルなやり取りは絶妙なアクセントとなっている。
なかでも注目を集めたのが、食事シーンでの一コマ。味噌を知らないアシㇼパが「これ…オソマ(アイヌ語で“うんこ”)じゃないか!」と、本気で抗議するシーンだ。山田さんはこの場面で、原作顔負けの白目全開の変顔を披露している。
このシーンを演じるにあたって山田さんは、原作のアシㇼパの表情に近づけるため、何度も顔をチェックして練習したとのこと。とくに白目をむいた表情は鏡では見えないため、スマホで撮影しながら研究を重ねたそうだ。
さらに、山田さんはアイヌ語や文化についても真摯に学び、弓や乗馬などのアクションにも本格挑戦。クランクインの3か月前から走り方や止まり方などの所作を体に叩き込み、アシㇼパとしての動きを身に染み込ませたという。
原作愛と役作りへの徹底したこだわりが、アシㇼパという個性豊かなキャラクターにリアリティと説得力を与えたのだろう。