■新境地開拓!? 怒涛の暴走教師『Gメン』吉岡里帆

 2023年公開の映画『Gメン』では、吉岡里帆さんの全力の振り切り芝居が観客を圧倒した。

 原作は小沢としおさんの人気コミック。問題児ばかりが集められた武華男子高校1年G組を舞台に、岸優太さん演じる主人公・門松勝太が仲間たちと騒動を巻き起こしながら成長していく青春アクション・エンターテインメントである。

 吉岡さんが演じるのは、新任教師・雨宮瞳。登場時こそ優しく穏やかな笑顔を見せ自己紹介を始めるが、生徒から「ババァ」と暴言を浴びた瞬間に表情が豹変。

 「誰がババァだよこの野郎!」「どこの国民的美少女捕まえてババァだっつってんだよ、あぁ!?」と怒号をあげる。

 さらにその暴走ぶりは加速し、岸さん演じる勝太を「ちんちくりん」、EXITりんたろー。さんを「オグリキャップ」と呼び、矢本悠馬さんには平手打ちをお見舞い。最終的には教室全体を巻き込み「先生は美人です」と全員に唱えさせ、圧倒的な勢いでG組を掌握するのだ。

 吉岡さんは本作について「岸さん初主演映画ということで皆んなで盛り上げたい! というお祭り感と愛情のある現場でした」「私も一緒に神輿を担ぐべく、今できる事を精一杯させて頂きました」と語っていたが、その振り切った演技で本作を盛り上げる豪快な神輿の担ぎ手となったことは間違いない。一見の価値ありだ。

 

 実写化作品において、美しい女優たちがそのイメージを軽やかに裏切り、全力の変顔やコミカルな演技を見せる姿は、観る者に驚きと笑い、そして新たな魅力を届けてくれる。

 今回紹介した女優たちも「美人なのに面白い」にとどまらず、その演技からは確かな実力と覚悟が伝わってきた。こうした“ギャップ全開”の振り切った芝居こそ、実写化作品が持つ醍醐味のひとつと言えるだろう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3