
ゲームボーイ用ソフト『ポケットモンスター 赤・緑』(任天堂)の発売以来、累計1000種類以上にも及ぶポケモンが誕生してきた。ポケモンたちは思わず抱きしめたくなるようなキュートなフォルムから神々しいフォルムまでバラエティに富んでおり、見ているだけでもワクワクしてしまう。遊んだことのある人は、誰しもお気に入りのポケモンがいることだろう。
そんななか、今回注目するのはゴーストタイプのポケモンたちである。彼らはかわいい見た目に反し、図鑑を見ると「そんなに怖いの?」と驚くダークな設定になっていることが多い。
初代作から登場する「ゴースト」はその最たるもの。ずんぐりむっくりのフォルムながら、図鑑説明によると彼らは、闇に乗じて獲物をペロリと舐めて命を奪うという恐ろしいポケモン。『Pokemon LEGENDS アルセウス』では「舌で舐められし者 日に日に衰弱し 死に至るとの噂」と書かれており、子どもであればすぐに画面を閉じてしまうような恐ろしいテキストが記載されている。
このゴーストのように、闇を感じさせるテキストが書かれたゴーストタイプのポケモンは意外に多いのだ。
■正体を知ってはいけない「ミミッキュ」
『サン&ムーン』から登場した「ミミッキュ」は、ゴースト・フェアリータイプのばけのかわポケモン。体長は0.2mと小さく、夜行性で暗がりを好み、性格はおとなしくて寂しがりや。
人間と仲良くしたいが、恐ろしい外見をしているため、怖がられないように、ボロ布に人気キャラのピカチュウに似せた顔を自身の能力で浮かび上がらせて被っている。けなげなかわいらしいポケモンなのだが、正体は何としても隠したいようで、『ウルトラサン』の図鑑によると布の中身を見ようとすると嫌がって激しく抵抗するのだとか。
そして、無理やり中身を見た者に待っているのは死。すでに複数の人間が犠牲になっているという都市伝説が広がっており、ショック死したり謎の病気で死んだりと、いずれも壮絶。図鑑の説明が妙におどろおどろしいのが特徴で、たとえば『ウルトラムーン』では「風が舞って偶然中身を見てしまったトレーナーはその日の晩に苦しみもがいて死んだ。」とあり、思わず背筋が凍ってしまう。ただ死ぬのではなく、苦しむところがより恐ろしい……。
また、バトルでは特性「ばけのかわ」で一度だけ攻撃を無効化でき、それによって首が折れることで「ばれたすがた」となる。中身は無事でも、こうなるとミミッキュは傷ついて泣いてしまう。
『サン』『ウルトラサン』の図鑑には、首が折れたり布が破れたりすると、中身が悲しみながら夜なべをして縫いものをしたり必死で首を治したりすると書かれている。あまりにもいじらしくて胸が締め付けられてしまう。
一方で首を折った相手への憎悪はすさまじく、『ウルトラムーン』『ソード』の図鑑には「絶対に許さず復讐する」「化けていたことをバラした奴は刺し違えてでも必ず倒す」という怖すぎる一文が……。そんなかわいさと執念深さが入り混じったところも、ミミッキュの魅力だろう。
ちなみに、アニメではアローラでムサシのポケモンとして登場するが、その個体はかなりダークな性格をしており、ピカチュウに強い憎しみを抱いている。