■ジェットコースターな展開と若者を待ち受ける衝撃のラスト
物語中盤に守が長い昏睡状態から目覚め、90年代らしい目まぐるしい展開が巻き起こっていく。
病院の帰り道、久々に集まった仲間は武志の口から2年前の真相を聞かされる。すべてを知った哲生は、怒りながらも武志を受け止め彼を工場に誘った。しかし、喜びもつかの間、守が突然命を落とし、自暴自棄に陥った武志は再び仲間の前から姿を消してしまう。
仲間たちもまた、悲しみに暮れる間もなく問題に直面する。薫は退職して実家に戻り、亮子は元カレ・山崎慎介(大沢たかおさん)の子を妊娠、圭介は父親が自分を裏口入学させようとしていることを知りショックを受けるのだ。
一方、武志と同棲していた千鶴子は、彼への独占欲がある意味満たされた形となる。だが、武志が哲生の工場に戻ると、嫉妬心から刃物を持って工場を襲撃し、哲生は怪我を負ってしまう。歪んでいるものの、武志にとって彼女が救いの一つになっていたのは間違いないだけに切ない話である。さらに悲劇は続き、千鶴子を追ってクラブに行った武志が不良と揉み合い、不必要な恨みを買ってしまう。
と、ジェットコースターのように物語が進む中、若者たちはお互いを支え合いそれぞれの道を歩みだしていく。
亮子は慎介と結婚するために親を説得し、圭介は改めて自分の力で医師を目指す。そして、哲生は持ちかけられた工場売却の話を断り、会社を守ることを決意する。
クライマックス。やっとすべてが前向きに進み始め、皆は千鶴子や妙子らを含めてクリスマス会を開いていた。工場にいた武志と哲生も会場に向かおうとしたその瞬間、クラブで揉めた不良・ミチオがナイフを持って現れ、二人は数度に渡って刺されてしまう。血まみれの二人は雪が降る中、笑いながらタバコに火をつけるのだった……。
クリスマスに始まった若者たちの物語は、数年後のクリスマスに幕を閉じる。二人がどうなったかは明かされていないが、生きていてほしい。
バブル崩壊直後を生きる彼らと現在の若者とでは違いも多い。だが、いつの時代も自分たちの世界を守るだけで精一杯の若者が、もがきながらも懸命に生きる姿は視聴者の心を捉えるものである。