■ＲＴＡでは現役のテクニック！ 「ヨクアタール」は“カナラズアタール”
バトル中にポケモンの能力を一時的に引き上げる戦闘用アイテムは、『赤・緑』の頃から存在する。攻撃力を上げる「プラスパワー」など、さまざまなアイテムがあるが、そのなかでも「ヨクアタール」は文句なしのチート級アイテムだった。
その名の通り技の命中率を上げる「ヨクアタール」だが、実際は一度使えば戦闘が終わるまで“必ず攻撃が当たる”状態になる。よく当たるどころではない。“カナラズアタール”だ。
しかも「じわれ」や「つのドリル」に代表される一撃必殺技までも、必ず当たるようになる。当たれば確実に相手を葬る一撃必殺技が必中……まさにゲームバランスブレイカーだ。
当時の一撃必殺技は命中率以外にもいくつか成功条件があるのだが、比較的簡単にクリアできたため「ヨクアタール」と一撃必殺のコンボは、現実的な戦法として成立した。
「ヨクアタール」がＮＰＣ戦限定のアイテムだったのが救いだ。もし対人戦で使えていたら……『赤・緑』のポケモン対戦はまるで違うものになっていただろう。
これは余談だが、『赤・緑』のＲＴＡ（リアルタイムアタックの略。なるべく早くゲームをクリアするやりこみプレイ）では、格上をすばやく倒せる「ヨクアタール」と一撃必殺のコンボが必須テクニックとして上級者に愛用されている。
ジムリーダーや四天王が流れ作業で瞬殺されていく光景がすさまじいので、往年のポケモントレーナーは一見の価値ありだ。
今回見てきた『ポケットモンスター 赤・緑』のバランスブレイカーな戦法は、以降のシリーズ作品でことごとく修正される。「はかいこうせん」は必ず反動を受けるようになり、「はっぱカッター」は急所を外し、「ヨクアタール」はあくまでよく当たるだけになった。
多くのバグや不可解な仕様など、ゲームとしては未完成な部分もあった『赤・緑』。それでも社会現象になるほどの人気を博したのは、それも込みで面白かったからに他ならない。
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