
世界中で愛される『ポケットモンスター』(任天堂)シリーズの元祖『ポケットモンスター 赤・緑』は、多くの“バグ”が確認されている怪作としても有名だ。
セレクトボタンを押すと想定外の挙動が起きる「セレクトバグ」を筆頭に数えるとキリがなく、どこまでがバグでどこまでが仕様か判断できない部分もある。
ポケモンが使う技にもバグなのか仕様なのか判断の難しい効果があり、なかにはゲームバランスを覆すほどの性能を持つに至った技も見受けられる。
そこで今回は、『赤・緑』時代だから許された(?)、ポケモンのバランスブレイカー戦法を振り返っていこう。
■公式大会で大暴れ! 「はかいこうせん」の反動無効
『赤・緑』で最強とうたわれる技はいくつかあるが、そのひとつに「はかいこうせん」を挙げる人は少なくない。
本作屈指の威力を持つ「はかいこうせん」だが、一方で使用すると次のターンは反動で動けなくなるというデメリットが存在する。反動中は交換もアイテム使用も不可なため、ハイリスクハイリターンな使いどころの難しい技……のはずだった。
だが、本作ではなんと「はかいこうせん」で相手を倒せば、反動を受けることなく次のターンも行動できるというとんでもない効果が存在する。要するに、一撃で倒しつづける限り、高威力の「はかいこうせん」を何度でも連発できたのだ。ハイリスクハイリターンどころか、ゼロリスクハイリターンにもほどがある。
公式大会では、この「はかいこうせん」連発を最大限に活かすトレーナーがよく見られた。とくに当時の最強ポケモン・ケンタロスの「はかいこうせん」で相手を蹂躙する光景は、当時のポケモントレーナーなら覚えている人も多いのではないだろうか。
■「ソーラービーム」より「はっぱカッター」! 的中率99.6%の急所狙い
ポケモンバトルは運も大事な要素だが、その象徴がランダムに攻撃ダメージを上昇させる「急所」だろう。
ほかの『ポケモン』シリーズではおおよそ4〜6%の確率で命中し、ダメージを大幅に増加する急所だが、『赤・緑』ではダメージから確率までが大きく異なる。とくにプレイヤーが活用したのが「きりさく」や「はっぱカッター」といった、急所に当たりやすい技だ。
「急所に当たりやすい技」と書いたが、実態はそんな生やさしいものではなく、“ほぼ確実に急所に当たる”恐ろしい技だ。
詳しい計算式は省略するが、本作で急所に当たりやすい技が急所に当たる確率は、なんと256分の255。約99.6%で本来の2倍近いダメージを発揮できる計算である。「当たりやすい」とはいったい……。
お手軽かつ強力な急所狙いは『赤・緑』定番の戦法となり、「きりさく」や「はっぱカッター」を覚えられるポケモンは、それだけで強いと言われた。
印象深いのが、御三家ポケモンの一角・くさタイプのフシギバナだ。くさタイプ最強の技「ソーラービーム」を自力で覚えるフシギバナだが、もっと早い時期に「はっぱカッター」が使えるうえ、急所も加味すると両者のダメージに差はほとんどない。
結果、多くのトレーナーはフシギバナに「はっぱカッター」を覚えさせており、「ソーラービーム」はかなり影が薄かった印象だ。せっかく覚えたからと「ソーラービーム」を試した結果「『はっぱカッター』のほうが強くないか?」と感じた人もいるだろう。