■「どうせ出ないんでしょ?」からの大逆転…ついに出た「金・銀」に夢中になった1999年
冬の1998年を乗り越えた1999年の春、ついに待望の新情報が飛びこんでくる。『コロコロコミック』4月号で、ついに『ポケットモンスター 金・銀』のタイトルが明かされ、実際のゲーム画面や新キャラクターが公開されたのだ。
だが、このとき筆者は「どうせ出ないんでしょ?」と、すさまじく冷めた視線を『金・銀』に向けていた。
1年を超える発売延期に心が荒み、『ポケモン』は好きでも「ポケモン新作」にはまったく期待しない少年になっていたのである。この後「6月発売」「9月発売」と、細かく発売が遅れ続けたのも不信を加速させた要因だろう。
とはいえ、いざ発売日が正式に決まり予約も始まると、“ぜったいれいど”な心は少しずつ溶けていく。そして1999年11月21日。製作発表から実に3年以上を数え、日本中が待ち焦がれた『ポケットモンスター 金・銀』が発売されたのだ。
自分で選んだ『銀』のソフトを手に取った瞬間、冷めていた心はすっかり氷解していた。遊んでみると、『赤・緑』からの進化が肌で感じられた。綺麗なグラフィック、バトルなどゲームバランスの改善……面白くも粗削りが目立った前作と比べてとても遊びやすく、洗練された面白さが『金・銀』にはあった。
結局、筆者は無事『金・銀』にハマり、気づけば『赤・緑』以上にやり込んだ。
「報われた」
遊びながら、何度も本気で思ったのをハッキリ覚えている。
『ポケモン金・銀』の発売を待ち続けた日々から、25年という月日が流れた。時間感覚とは不思議なもので、この25年間より、新作製作が発表されてから『金・銀』のソフトを手にとるまでの3年間のほうがはるかに長く、じれったい気持ちだった気がしてならない。あんなに新作ゲームの発売を心待ちにする日々は二度と来ないだろう。
たび重なる発売延期を乗り越え、待ち続け膨らみ切ったユーザーの期待に見事に応えた『ポケモン金・銀』。その輝きは30年、40年、50年と語り継がれるに違いない。