■機械の体に“武士”の魂…『サガ フロンティア』メタルブラック

 “勝負愛”を見せるキャラはどこか武人然とした性格をしていることが多いが、1997年にスクウェア(現:スクウェア・エニックス)から発売された『サガ フロンティア』のなかにも、“まさしく武人”といったテイストのキャラクターが登場している。

 数々の主人公のストーリーが交差していく本作において、「レッド編」に登場するボスキャラ・メタルブラックは、敵とは思えない正々堂々とした立ち振る舞いでプレイヤーを魅了した。

 悪の組織「ブラッククロス」の四天王の一人として君臨する彼は、“メタル”の名が指し示す通り、鋼鉄の体に武士の心を持ったメカである。早い段階で主人公・レッドの前に姿を見せるが、彼は敵でありながら「ブラッククロス」の情報を伝えるなど、レッドと対等な立場で戦うため、中立な立ち振る舞いを見せていた。

 その後、激突するたびに改造を受け新たな姿を披露していくメタルブラック。最終的にはレッドの変身後の姿に似た“メタルアルカイザー”として、立ちはだかることとなる。

 姿形は変わってしまったが、それでも核の部分にある“武士”としての心は捨てておらず、ほかの四天王らとの連戦で疲弊したレッドを回復させ、全力での勝負を仕掛けてくるのだ。

 メタルブラックはレッドことヒーロー・アルカイザーを模倣した数々の新技で攻めてくるうえ、必殺技を改良した凄まじい威力の「ダークフェニックス」を繰り出してくる。

 だが、この戦いではレッドも新たな必殺技「真アル・フェニックス」に開眼したりと、互いが全力をぶつけ合う、実に熱い展開が繰り広げられていく。

 敵ながらヒーローの良きライバルとして活躍した、作中屈指の魅力的なボスキャラだといえるだろう。

 

 いかがだろうか。作中、プレイヤーの壁として立ちはだかるボスキャラたちだが、ときにはその“勝負愛”の強さでこちらを驚かせてくれる。彼らの好意を無駄にすることなく、全身全霊をぶつけて活路を切り開いていきたいものだ。

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