2024年5月、恋愛シミュレーションゲーム『ときめきメモリアル』(コナミ)が生誕30周年ということで大いに盛り上がったことは記憶に新しいと思います。しかし、30年前に産声を上げた恋愛ゲームは『ときメモ』だけではありません。
もう一作、ゲーム史に名を刻んだ伝説の恋愛ゲームが誕生しました。それが1994年9月23日にスーパーファミコン用ソフトとして発売された『アンジェリーク』(光栄/現コーエーテクモゲームス)です。
■世界初! 女性をターゲットにした恋愛ゲーム
女性向け恋愛シミュレーションゲーム『アンジェリーク』の発売メーカーが、『信長の野望』『三國志』シリーズなど硬派なゲームで知られる光栄だと知って、「ご乱心か!?」と驚いたのは私だけではないでしょう。あらためて少女漫画風のキラキラしたパッケージイラストを見れば、その気持ちを理解してもらえると思います。
本作の最大の特長は、世界初となる女性に向けて作られた恋愛ゲームという点です。そこに焦点をあてているためか、全64ページの説明書のうちゲームに関する説明は約3割ほどで、残りはイラストストーリーとキャラクター紹介に費やされていました。
キャラクターデザインとイラストを担当したのは、イラストレーターであり漫画家の由羅カイリ先生。由羅先生の描くイケメン守護聖たちにハートを鷲づかみにされた女性ゲームファンは多く、これまでゲームに興味のなかった女性層にも興味を抱かせました。
■ライバルと競って女王を目指す! キーとなる9人の守護聖!!
本作は、王立スモルニィ女学院に通う主人公と、そのライバルのロザリアが、宇宙を統べる女王候補として競い合うというストーリー。それぞれに大陸を与えられ、彼女を支える守護聖様の協力を得ながら、先に発展させたほうが女王となります。
これだけだと開拓型のシミュレーションゲームのように聞こえますが、主人公と守護聖様の交流がメインになるので、実際はアドベンチャーゲームに近く、ゲーム慣れしていない人にも遊びやすい内容でした。
キーとなるキャラクターは、ライバルとなる女王候補のロザリアと、9人の守護聖様。ロザリアは高圧的で、いわゆる悪役令嬢のようなポジションですが、意外と面倒見がよく、個人的には主人公よりも好きなキャラです。
初めて本作を触ったときは、その言動やイラストを見て「キャンディキャンディっぽい雰囲気の恋愛ゲームだ!」と興奮したものです。
一方、攻略対象となる守護聖様たちはそれぞれ異なる力を司り、厳格な大人から寡黙なクール系、優男にプレイボーイ、聡明な男性におネエっぽいキャラと、かなり個性豊か。のちに他機種に移植された際にボイスがついたことで、さらに人気に火がついたのはいうまでもありません。