『花ざかりの君たちへ』に『PとJK』、『ママレード・ボーイ』にも登場…「少女漫画のトンデモ設定」を振り返るの画像
『ママレード・ボーイ』アニバーサリーDVD-BOX(東映アニメーション)

  海野つなみさんの『逃げるは恥だが役に立つ』は、2016年に実写ドラマ化され、『逃げ恥』の愛称で社会現象を巻き起こした。本作で描かれたのは、雇用主と従業員という立場を隠して婚姻関係を結ぶ“契約結婚”だった。現実的ではないテーマだが、今時の社会情勢も盛り込みながら、コミカルに楽しめる作品として人気を博したのが記憶に新しい。

 そこで今回は『逃げ恥』のように、現実ではありえないような“トンデモ設定”が描かれた少女漫画をご紹介していこう。

■性別を偽って男子校へ入学!?『花ざかりの君たちへ』

 中条比紗也さんの『花ざかりの君たちへ』(白泉社)は、日本だけでなく台湾や韓国でも実写ドラマ化されるほど人気がある作品だ。完結から20年経った今年5月にはアニメ化が発表され、現在も計画が進行している。

 昨年、作者の中条さんの訃報が報じられた際、『花君』ファンたちは大きな衝撃を受けた。中条さんもラフやシナリオを見ていたという今回のアニメ化。ファンとしては期待せずにはいられない……。

 本作は、主人公・芦屋瑞稀が憧れの陸上選手・佐野泉に会うため男子校に転入するという物語だ。女子生徒が性別を偽って転入なんて、現実ではありえない話だろう。しかし、誰もが一度は夢見てしまうようなハラハラドキドキの男子校生活は、多くのファンを魅了した。

 登場人物たちが総じてイケメン、そして瑞稀自身もとってもかわいらしい『花君』。瑞稀の正体にいち早く気づいてしまった佐野が、陰ながら瑞稀をサポートし、彼女を密かに守っている姿にキュンとした人も多いだろう。

 アニメ版では名シーンたちがどのように描かれるのか、必見だ。

■中学生で学年一のモテ男と同棲生活!『グッドモーニング・コール』

 高須賀由枝さんの『グッドモーニング・コール』(集英社)は、1997年から2002年まで『りぼん』で連載され、2006年からは続編の『グッドモーニング・キス』が『Cookie』(電子版のみ)で連載されている。

 実写ドラマ化も果たすほど人気シリーズの本作は、中学3年生の吉川菜緒が田舎へ帰る両親と離れ、一人暮らしをするところから物語がはじまる。

 菜緒が一人暮らしをすることになった部屋だが、実は悪質な不動産屋によって同級生の上原久志との二重契約になっていた。

 事情があり、それぞれ実家には帰れない2人……。紆余曲折あり、同じ部屋に住むことになるのだが、学年一のモテ男である久志との共同生活は波瀾万丈だった。少しずつ恋仲になっていく2人の様子は、もどかしくもくすぐったい初恋のようで、続編が描かれると知って歓喜したファンも多いだろう。

 現実的に考えれば、中学生が一人暮らしをするなんて、あまりないことであろう。無論、菜緒の両親は2人が同棲状態にあることなど知るよしもないのだが……。

 おとぼけキャラの菜緒と、基本的に他人に興味のない久志の凸凹同棲生活は、笑いあり、涙ありと読み応え抜群だ。それにしても、イケメン男子との同棲生活……羨ましい限りだ。

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