シリーズ35年ぶり新作『笑み男』も「背筋ゾクッ…」 令和でも『ファミコン探偵倶楽部』の恐怖は健在だった!【ゲームプレイリポート】の画像
NintendoSwitch用ソフト『ファミコン探偵倶楽部 笑み男』(任天堂) (C)Nintendo

 怖い話にまつわるホラーな事件を、探偵助手として推理するアドベンチャーゲーム『ファミコン探偵倶楽部』、通称“ファミ探”シリーズ。その35年ぶりの最新作となる『ファミコン探偵倶楽部 笑み男(えみお)』が2024年8月29日に発売されました。

 タイトル通り、ファミコン時代に誕生した人気シリーズですが、最新作は現代風にアップデートされた、ニンテンドースイッチ用のソフトです。どんな恐怖が味わえるのか、令和仕様のアドベンチャーゲームがどんな感じなのか、実際に遊んでみた印象とともにご紹介しましょう。

※物語の概要以外にネタバレはありません。

■口裂け女を彷彿させる「笑み男」の都市伝説とは!?

 “ファミ探”シリーズいちばんの特徴が、怪談との関連が疑われる殺人事件が、ホラータッチで描かれること。もうひとつ、主人公は高校生探偵で、ジュブナイル(ヤングアダルト)の側面もあります。少年探偵……オトナになっても羨望を抱いてしまう設定です。

 最新作の『ファミコン探偵倶楽部 笑み男』では、主人公は高校を卒業していますが、まだまだ新米探偵(助手)といった印象。また、過去作で主人公のサポートを務めた女子高生ヒロイン・橘あゆみも、ちょっぴりお姉さんとなり、初々しい探偵助手として登場します。

 今回、フレッシュなふたりが挑むのは、都市伝説に酷似した事件です。発見された男子中学生の遺体の頭部に、笑顔が手描きされた不気味な紙袋が被せられていたという、世にも奇怪な事案。それは、泣いている女の子の前に現われ、「永遠の笑顔をあげる」と言って命を奪い、笑顔の描かれた紙袋を被せて立ち去るという殺人鬼の怪談「笑み男」を連想させるものでした。

『ファミコン探偵倶楽部 笑み男』(任天堂) (C)Nintendo

 この「笑み男」の都市伝説、あくまでゲーム上の創作なのですが、まるで現実にウワサされているかのように思えて怖かった! 口裂け女と同じく、対処法なども拡散されたりしてるんです(笑)。笑み男自身も同じ紙袋を被って現われるというのですが、その気味悪さはホラー映画におけるピエロやジャック・オー・ランタンといったモチーフと共通するものがあり、背筋がゾクッとします。

 恐怖の度合いはスリラー上級者にはもの足りないかもしれませんが、心理サスペンスあり、スプラッターありで、少なくとも筆者は深夜にひとりではプレイしたくないようなレベル。そして、“哀しい真実”が秘められているのも、怖い話の定番というか、期待を裏切りませんでした。

■死者の呪いを扱った第1作、学校の怪談を取り上げた第2作、そして幻の番外編

 ここでシリーズ作品を少し振り返ってみましょう。1988年(昭和63年)に発売された1作目と、翌年リリースされた2作目は、ファミコンはファミコンでも、ファミリーコンピュータディスクシステム用ソフト。そのため、オリジナル版を遊んだという人は、他のメジャー作品と比べるとあまり多くはないかもしれません。ただ、根強い人気を誇るシリーズとなり、その後、スーパーファミコンゲームボーイアドバンスなどにも移植され、ファンを増やしました。

 1作目『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者』は、戦国時代に端を発する「死人蘇り伝説」が今なお語り継がれる村で、豪族の遺産をめぐる殺人事件が起こるお話でした。言い伝えとは、「一族の君主は代々、財産を狙う者が現われると、その者を殺すために墓からよみがえる」というもの。そのため、村では現在も土葬が行われているというのです。そして、病死で埋葬されたはずの女性当主が生き返って……というストーリーが展開されます。

 また、2作目『ファミコン探偵倶楽部PartII うしろに立つ少女』では、学校の怪談を調べていた女子高校生が殺害されるお話。「学校にひとりでいるとき、後ろから呼ばれて振り返ると、血に染まった少女の幽霊が立っている」という、どこの学校にもあるようなウワサがベースとなります。でも、そこにはどうやら知ってはいけない真相が秘められていたようで……!?

 さらに、1997年、スーパーファミコンの拡張機器『サテラビュー』向けに、衛星放送(BS)で幻の番外編『BS探偵倶楽部 雪に消えた過去』が配信されています。落武者の伝説が残る村で、雪の夜に密室殺人が発生。これが「祟り」だと恐れられて……と、物語が進んでいきます。

 つまり、いろんなタイプの怖い話が味わえる探偵ミステリーとして、ファンの支持を集めたシリーズなのです。

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