声優・田中敦子さんの訃報に悲しみの声、『攻殻機動隊』草薙素子に『ジョジョ』リサリサ、『寄生獣』田宮良子も…名セリフで振り返る「唯一無二の存在感」の画像
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 声優の田中敦子さんが、2024年8月20日、病気のため亡くなられた。訃報を受け、声優業界をはじめ、ファンたちも深い悲しみを寄せている。

 田中さんはアニメ『攻殻機動隊』シリーズの草薙素子役をはじめ、数多くのキャラを担当してきた。少し低めで伸びやかな声が魅力で、なかでも“強くたくましい女性”を演じることが多かった。存在感を放つ田中さんの声は唯一無二で、一ファンとして非常に大好きな声優だった。

 この記事では、田中さんが演じられたキャラの名セリフを通して、田中さんの声を振り返っていきたい。

■『攻殻機動隊』公安9課を束ねる女性指揮官は力強く、ときには繊細に…

 自身も“少佐”という愛称で呼ばれるほど、田中さんを代表するキャラとなった『攻殻機動隊』の少佐こと草薙素子。

 素子は冷静沈着かつ圧倒的戦闘力を持つ頼れる公安9課の女性指揮官であるが、その一方で、全身義体であるゆえの切なさ、そして危うさを感じさせるキャラだ。田中さんはその複雑な心情を見事に声で表現していたように思う。

 テレビアニメシリーズ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』第1話「公安9課 SECTION-9」オープニングシーン。

「お前ら警察か? もはや体制に正義はなし得ない」と捨て台詞を吐く爆弾魔に対し、素子は「世の中に不満があるなら自分を変えろ それが嫌なら耳と目を閉じ 口をつぐんで孤独に暮らせ」とビシッと言い返す。熱すぎず冷たすぎずの絶妙な声のトーンが、非常にカッコいいシーンだ。

 また、第5話「マネキドリは謡う DECOY」で、事件の捜査について疑問を持つ素子が言ったセリフ「そうしろってささやくのよ 私のゴーストが…」。全身義体の処置をしている彼女が言うからこそ、深く説得力が感じられる名セリフだ。田中さんは落ち着いた演技で語っており、非常に印象的なシーンとなっていた。

■『ジョジョの奇妙な冒険』リサリサの内面の強さを美しい声で表現

 田中さんは『ジョジョの奇妙な冒険』第2部「戦闘潮流」で、確固たる決意を持つ大人の女性・リサリサを演じた。

 リサリサは熟練の波紋使いで、主人公のジョセフとシーザーの師でもある。21話「100対2のかけひき」では、「抱きしめて その白い肌から血を吸ってやるズラ」と小物感たっぷりの敵に迫られた際も「私は今機嫌が悪い お前のような下品者とは口もききたくないし 顔も見たくない」「でも抱きしめるというならためしてみなさい 後悔しながら死んでもいいならね」と、クールに言い放つ。

 冷静ななかにも感情の抑揚が見られるこのシーン。彼女の内に秘めた強さがこれ以上なく伝わってきた。

 さらに23話「風にかえる戦士」、最強の敵・カーズと戦うこととなったリサリサを心配するジョセフに対し「無用! たかが20歳前の小僧からいたわられるほど やわな人生は送っていない」と言って、1対1の直接対決に挑むシーンも非常にカッコよかった。

 実年齢は50歳のリサリサだが、非常に若々しい外見と、それ以上にたくましい心を持った女性だ。内面の力強さと美しさも、田中さんの美声により強調されていたように思う。

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