■その他の雑誌は? 『ドラクエ2』の3人が記者会見?『マル勝ファミコン』

 80年代から90年代にかけてゲームっ子の支持を集めた『マル勝ファミコン』(角川書店/現:KADOKAWA)では、1987年8月28日発売の18号で『ドラクエ3』の情報を掲載している。

『マル勝ファミコン』は漫画コーナーが人気のゲーム雑誌だったが、その色はここでも発揮されている。

 まず紹介ページの扉絵では前作『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』の主役3人が「やったね」と笑っているイラストを掲載しており、非常に味がある。さらにページをめくると『ドラクエ2』の3人がニヤニヤしながら記者会見を受けているイラストが載っており、スペシャル感が伝わってくる。よく知らなくても「なにか嬉しいことあったんだな」と感じ取れるほどだ。

 ほかにも「23歳・浪人生」「エニックス近くを流していたタクシー運転手」など、どこの誰かよくわからない人たちのインタビューを掲載しており、ユニークな方向に振り切っている印象。ゲーム専門雑誌は、ただゲームを紹介するだけでなく子どもの読み物としても当時人気を博したが、その理由がよくわかる記事だった。

 ちなみに浪人生は「“ドラクエ”をとるか、大学をとるか? う〜ん、ボクの一生がかかった大問題だぜ」と言っている。いや、ひとまず後者をとったほうがいいだろう……。

 

 今回は『週刊少年ジャンプ』『ファミコン通信』『マル勝ファミコン』の3誌を見てきたが、すべての雑誌で共通していたのは「『ドラクエ3』を豪勢に取り上げていた」という点だ。どの雑誌も表紙で『ドラクエ3』情報解禁を強くうたっており、特集記事は3ページ以上に渡っていた。

 第一報記事を見ただけでも『ドラクエ3』に対する当時の大きな期待を感じたし、それは『ドラクエ1』、そして『2』とシリーズを重ねるごとに「面白いRPG」という評価が広がったため、最新作への注目が高まっていたということなのだろう。30年以上続く『ドラクエ3』の伝説は、発売前からすでにはじまっていたのだ。

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