1988年に発売されたファミコンRPG『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(エニックス/現:スクウェア・エニックス)は、今年11月にリメイク版が発売されるなど、登場から36年が経った今も色褪せない名作だ。当時、発売日に学校をずる休みしてゲーム店に並ぶ子どもが続出したほど、社会現象となったソフトだが、ひとつ気になることがある。
「発売前、発表されたばかりの『ドラクエ3』はどう思われていたのだろう?」ということだ。
後日、日本中を騒がせることになる『ドラクエ3』は、発売されるまでどんな存在だったのだろうか。最初からものすごく期待されていたのか、意外と発表当初は地味な扱いだったのか……?
この記事では『ドラクエ3』の第一報を紹介した主要な雑誌を調査して、発売前の本作がどのようにユーザーに紹介され、期待されていたのかを探っていく。
■鳥山先生デザインのキャライラストもガッツリ掲載『週刊少年ジャンプ』
『ドラクエ3』のキャラクターデザインを担当した鳥山明さんが連載を持っていた雑誌『週刊少年ジャンプ』(集英社)では、1987年37号で本作の第一報を報じている。時期としては8月中旬で、他雑誌と比較するとかなり早い発表だったようだ。
時期は早くても内容はかなり濃い。「ついに『ドラゴンクエストIII』の情報を手に入れることができたぜっ!」のコメントとともに掲載されたのは、鳥山先生がデザインしたモンスターやキャラクターのイラスト群だ。
とくに勇者は『ドラゴンボール』孫悟空、男戦士は『Dr.スランプ』スッパマンのような面影を色濃く残しており、ゲームというより漫画っぽいビジュアルなのが面白い。
ほかにも「アレフガルドの謎が明らかにされる」とストーリーの核心も匂わせており、初報としては非常にボリューミーだ。実物を調べていて「さすがは鳥山先生の連載雑誌……」と驚かされた。
■転職や各職業の特徴を紹介した『ファミコン通信』
現在の『ファミ通』(KADOKAWA)のルーツとなったゲーム専門雑誌『ファミコン通信』(アスキー)では、1987年18号で『ドラクエ3』の初報を伝えていた。発売日は9月4日と少し遅めだが、前号が8月の合併号だった影響でタイミングが合わなかったと思われる。
印象的なのは見開きで大きく掲載された全体地上マップだ。まだ見ぬ『ドラクエ3』ワールドに期待を持たせるには十分な迫力で、「早くこの世界を冒険したい!」とワクワクできた子どもたちがかなり羨ましい。
また、記事内には『ドラクエ3』から導入された転職システムの紹介や、職業ごとの能力差をまとめた表など、その時点で掲載可能なゲーム内容がたっぷり盛り込まれていた印象だ。
『ドラクエ3』がゲームとしてどう面白くなりそうかに主眼を置いていたようで、さすがはゲーム専門雑誌の雄『ファミコン通信』といったところである。