ファミコンブームで世間が熱狂していた1980年代半ば。あの頃のゲームには隠しステージや裏技といった隠し要素が満載でした。プレイヤーである我々もクリアを目指す一方で、そういった裏技を見つけるために、あらゆる手を尽くしたものです。
しかし、当時はインターネットもなく、情報源は口コミか、ゲーム雑誌の情報などに限られました。そのため、ちょくちょく都市伝説的に広まったガセ情報に踊らされ、ムダな時間を費やすこともありました。そこで今回は、当時のファミコンキッズたちを騒がせた、ゲームにまつわる噂話やガセネタを振り返ります。
■256発当てれば破壊可能? 『ゼビウス』バキュラ破壊の噂
ファミコン時代にあった有名なガセネタのひとつが、『ゼビウス』(ナムコ)に出現する鉄板のような敵「バキュラ」を破壊できる、というものです。これは当時発売されたアーケード版『ゼビウス』の関連書籍に書かれた誤情報が元となり、間違った内容が広まったものでした。
のちに『ゼビウス』の生みの親である遠藤雅伸氏も思い違いをしていたと明かしたとおり、実際はバキュラを破壊することはできません。
しかし、当時この噂の真偽を確かめるには、自分で挑戦してみるほかありませんでした。「256発当てると破壊できる」という説もあり、ファミコンの連射パッドを持っている人は、「これならば!」と試した人もいるはずです。
筆者もそのひとりでしたが、自機の弾「ザッパー」がバキュラに当たったときの甲高く、小気味いい音を聞くのが好きで、意味もなく攻撃してしまうのは私だけでしょうか。
■『スパルタンX』シルビアが襲ってくる噂
続いてはファミコンの『スパルタンX』(任天堂)で、ヒロインの「シルビア」が敵として襲ってくるという眉唾ものの噂です。
同作は、主人公トーマスがさらわれたシルビアを助けに行くというストーリーですが、24周目になると、そのヒロインのシルビアが主人公に襲いかかってくるという都市伝説がありました。
これも完全なガセネタでしたが、絶妙な周回数といい、なんとなく“ありそう”な内容だったこともあり、疑うことなく信じた人もいました。
ちなみにこのネタは、当時『月刊コロコロコミック』(小学館)で連載されていた、あさいもとゆき先生の『ファミコンロッキー』で紹介されたものです。あの頃は、漫画に描かれたネタも全部鵜呑みにしてしまう、ピュアなキッズが多かったのです。