『キャプテン翼』『水島新司の大甲子園』『天地を喰らう』…原作ファンが絶賛したファミコン「人気漫画ゲーム」の名作の画像
ファミコン『キャプテン翼』(ふたまん+編集部撮影)
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 ファミコンが大流行した1980年代から1990年初期、人気漫画がゲーム化されることが多かった。ただ、当時のファミコンの容量では原作漫画の細部までを表現できないことも多く、賛否両論が巻き起こる結果となったものもある。

 しかしなかには、アイデアや工夫が盛り込まれ、原作ファンを大満足させたタイトルも存在する。今回は原作ファンが唸った、人気漫画のファミコンゲームをいくつか振り返ってみよう。

■大人気サッカー漫画の楽しさをアイデアで実現! 『キャプテン翼』

 まずは1988年にテクモ(現:コーエーテクモゲームス)から発売された『キャプテン翼』だ。原作はもちろん、1981年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された、高橋陽一さんの同名の人気サッカー漫画である。

 当時はまだ日本にプロサッカーリーグもない時代だったが、原作は大人気だった。友達とサッカーをして遊ぶときには、好きなキャラクターの名前を獲り合ったりしたものだ。ちなみに若林源三が好きだった筆者は帽子を深めに被り、人気のなかったGKを率先して引き受けていた。ただ、友達からは「森崎!」と叫ばれていたが……(なんで?)。

 さて、ゲームは一般的なサッカーゲームと違い、コマンド式のリアルタイムシミュレーションゲームとなっている。「ガッツ」という行動値が採用されていて、選択したコマンドによって選手はガッツを消費していく。

 これがまた面白くてハマった。とくに必殺シュートはガッツを大きく消費してしまうので、できるだけゴール前まで我慢したものだ。

 本作は原作通りにストーリーが進んでいく。中学生編のあとのジュニアユース編では日向小次郎を操作できるようになるので、さらに燃えた。

 そして極めつけは1990年に発売された続編『キャプテン翼II スーパーストライカー』だ。完全オリジナルストーリーで必殺技も増え、主人公の大空翼がブラジルに渡ってからのストーリーに、親友・岬太郎率いる南葛高校の戦い、そして翼対全日本ユースという激アツの展開にワクワクした。

 BGMも素晴らしかった。敵チームがボールを保持すると個別のテーマが流れるのだが、東邦戦や西ドイツ戦のBGMはラスボス感が漂う名曲だった。

 また、メインキャラクター同士がマッチアップすると、個別のセリフがあるのも面白い。必殺技を繰り出すときには原作のセリフを用いてくれるので、原作ファンとしては思わずニヤリとしてしまうものだった。

■配球やかけひきが楽しめる『水島新司の大甲子園』

 次は、1990年にカプコンから発売された『水島新司の大甲子園』だ。こちらは水島新司さん原作で、『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)にて連載された『ドカベン』と『大甲子園』がベースとなっている。プレイヤーは山田太郎や岩鬼正美らを擁する明訓高校を率い、甲子園を目指す。

 当時、ファミコンでの野球ゲームといえば『プロ野球ファミリースタジアム』(ナムコ)に代表されるアクションゲームが王道だったが、本作はコマンド式のシミュレーションゲーム。試合では、投手と打者それぞれに3×3マスのストライクゾーンが表示され、まず投手側が球種とコースを選択。打者側はそれを読んで、狙うコースやスイングスピードを選択する。

 このシステムにより、野球の醍醐味ともいえる投手と打者のかけひきを存分に楽しむことができた。また、本編に登場する個性豊かな選手の特徴も再現されており、投手であれば決め球、打者であれば独自の打法が用意されていた。つまり、原作漫画での勝負を、自分なりに追体験できるのだ。

 悪球打ちの岩鬼はストライクではなくボールゾーンが強かったり、殿馬の「秘打」が頼りになったり、里中のさとるボールの落差がすごかったり……。ゲーム内で漫画キャラたちの能力を堪能できるのはたまらなかった。

 選手同士の会話がないのは少し残念だったが、手強い敵キャラたちとの対決にも燃えた。帽子のツバの切れ目から鋭い眼光を見せる、白新高校の不知火守が登場してきたときには痺れたものだった。

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