■RPGとシミュレーションゲームを融合させた『天地を喰らう』

 最後は、1989年にカプコンから発売された『天地を喰らう』だ。

 原作は1983年から『週刊少年ジャンプ』で連載された本宮ひろ志さんの同名漫画で、『三国志』をテーマに描かれた作品だ。ほぼ同時期に稼働したアーケード版はベルトスクロールアクションだったが、ファミコン版はシミュレーションRPGと違いがあった。

 プレイヤーは劉備軍を率いて黄巾族の討伐からスタートし、董卓や袁術、袁紹を倒していく。兵士数が戦いの鍵を握るので、味方の武将を増やしていくことも重要だった。攻撃力は個の武力や武器にもよるのだが、兵士数がRPGでいうところのHPに当たるのは斬新なシステムだったと思う。

 移動やバトルはRPGのそれだが、兵糧の概念や条件付きの計略など、シミュレーションゲームとしても楽しかった。戦いに勝利すると兵糧が手に入ることに、「なるほど」と唸ってしまったものだ。
原作が早くに終了してしまい、もっと続きが読みたかったと思ったのは筆者だけではないだろう。それだけにアーケード版とともにファミコン版が登場したのは、嬉しかった。

 

 ここで紹介したゲームは、どれも原作ファンを唸らせるほど面白い内容だった。ファミコンの少ない容量でも、アイデアや工夫でうまく原作の良さを実現させていたことが素晴らしい。どの作品もゲームとしての魅力も十分で、じっくりと作戦や展開を予想しながらプレイするのはとても楽しく、ハマったものだった。

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