7月7日から、ゆでたまご(原作担当:嶋田隆司さん、作画担当:中井義則さん)の『キン肉マン』が32年ぶりの完全新作アニメになって帰ってくる。
キャラクターの声を演じるキャストも続々発表されているが、なかでも「お笑い芸人」の起用が話題となっている。正義超人ウルフマンをケンドーコバヤシさんが、ビッグ・ザ・武道を麒麟・川島明さんがそれぞれ演じることが発表されたのだ。とくにビッグ・ザ・武道は今シリーズ注目の敵キャラであり、原作ファンの間では期待と不安が入り混じった声が広がっている。
確かに、声優として本職ではないお笑い芸人の演技が気になる人はいるだろう。そこで今回は、アニメのレギュラー声優として多くの視聴者に受け入れられた芸人を紹介しよう。
■林家こぶ平…『タッチ』の松平孝太郎などさまざまなアニメキャラを演じる
まずは、落語家でありながらTVタレントとしても有名な林家こぶ平(9代目林家正蔵)さんだ。
1980~90年代のバラエティ番組での活躍がとくに有名な林家さんだが、“林家こぶ平”名義でアニメキャラの声を演じた経験も多い。
有名作では、あだち充さん原作の高校野球×ラブコメアニメ『タッチ』(フジテレビ系列)の松平孝太郎役が挙げられる。松平は明青学園野球部の捕手であり、主人公・上杉達也の球を受ける女房役だ。
脇役ではあるが大事なレギュラーキャラでもある孝太郎を、林家さんはその特徴的な声色を活かして演じた。浅倉南役の日髙のり子さんは「お互いに励まし合いながらがんばりました」と当時を振り返っており、演技だけでなく共演者とも良い関係を築いていたようだ。
ほかにも、秋本治さん原作の『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(フジテレビ系列)で冴えない警官・寺井を演じている林家さん。あの頃にアニメを見ていた子どもたちの耳には、林家さんの愛嬌ある声がこびりついているだろう。
■西川のりお…『じゃりン子チエ』テツは「人生ナンバーワンの当たり役」
次は、80年代を代表するバラエティ番組『オレたちひょうきん族』で人気を博した芸人、西川のりおさんだ。強烈な暴走キャラでお茶の間を沸かせた西川さんは、「人生ナンバーワンの当たり役」と振り返るほどのアニメキャラを演じている。
それが、はるき悦巳さんの漫画を原作としたアニメ『じゃりン子チエ』(毎日放送)に登場する主人公・竹本チエの父親、竹本テツ役だ。本作は昭和の大阪でホルモン屋を切り盛りする小学5年生・チエのたくましい毎日を面白おかしく描いた名作コメディであり、1981~83年に放送された。
西川さんが演じたテツを簡潔にいうと「ダメだが憎めない親父」だろう。娘のチエに店を任せて博打と喧嘩三昧の日々を送る父親で、ファンからは「もうひとりの主人公」と呼ばれることも多い。
そんな常識で測れない魅力を持つテツに破天荒な芸風の西川さんが見事にハマり、とてもイキイキとしたダメ親父・テツが生まれたのだ。
そのハマりっぷりは今でも語り継がれており、西川さんいわく「今でも周りの方々にテツと言われます」とのこと。放送から40年経ってなおイメージが残っているとは……本人が人生ナンバーワンと言い切るのも頷ける。